武器輸出で著しい成果を出している韓国(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏現在、韓国の武器輸出が増えている一番の理由として上げられているのは、実は納品時間の短さである。武器はいつも需要があるわけではないので注文生産になるが、注文から納品まで通常は数年以上かかることになる。韓国はそれが他国と比べて圧倒的に短いことが、市場では受けているわけだ。
ウクライナに侵攻したロシアの周辺国は、戦争の危機にさらされ、防衛力の補強が喫緊の課題となっている。それに、武器輸出が有利と考えられる要素の1つは、武器は基本的に一度購入すると、長期間使われることになるという点だ。武器がいったん納入されると、長い間消耗品も売れるようになるのでメリットがあるのだ。
そのため、プリンタービジネスのように武器ではあまり利益が出なくても、後の消耗品で何十年もビジネスができることも武器ビジネスの特徴の1つである。韓国はポーランドをはじめ、トルコ、オーストラリア、エジプト、マレーシアなど世界のいろいろな国と武器輸出の交渉をしている。
武器輸出が増加している背景
ウクライナ戦争が長期化するなか、世界各国は国防予算を増額している。米国のAviation Weekの発表によると、2年後には世界の国防予算が2兆5,000億ドルになることが予測されている。ウクライナ戦争前までは、ロシアは武器の主要輸出国であった。ところが、今回の戦争でロシア産武器は敬遠されているようになった。
というのは、ロシア製の武器が低性能であることが立証されたからだ。その結果、ロシアの武器輸出は大幅に減少している。それに、米国と欧州各国はウクライナに武器支援をしているため、自国の需要を賄うことだけでも精一杯で、輸出どころではない。
その結果、もともと米国と欧州に武器を発注しようとしていた国が韓国に目を向けているわけである。また、欧州は冷戦終結後、軍縮に乗り出し、防衛産業の規模が縮小、統合、廃業されるなどした。それで欧州は武器を発注しても、納品までにとても時間がかかるような状況である。
今後の課題は
武器輸出は人を殺傷する道具を提供することになるので、武器輸出が伸びたからと言って諸手を上げて歓迎するようなことにはならない。しかし、誰かが武器をつくって販売することになるので、それは気にする必要はないという反論もある。
北朝鮮との対峙のなかで、韓国は武器をずっと生産せざるを得ない状況であった。それが結果的にウクライナ戦争などの外部要因によって、韓国の武器が急に注目されるようになった。しかし、韓国の武器の課題はたとえば、戦闘機の場合、コア部品であるエンジンは韓国では生産できていないことだ。
エンジンを開発できるようなレベルに達しているものの、米国はエンジンだけは韓国に生産させない。その他、武器のかなり部品は海外に依存している。その部品を韓国で開発して初めて、本当の意味での武器輸出につながるわけだ。米国が戦闘機のエンジンを供給しないと、韓国は戦闘機を受注しても納品できなくなるからである。
それに、システムを支えるソフトウェアの開発にも力を入れる必要がある。これからはシステムを制御するソフトウェアなどがより重要になる。韓国の武器輸出は外部環境による一時的な現象なのか、それともこれからも継続するのか、その推移に市場の注目は集まっている。
(了)
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