旧統一教会の被害者救済法案、財産保全で折り合わず、来週も継続協議
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旧統一教会の被害者救済をめぐって、与党と国民民主党が提出した法案と、立憲民主党と日本維新の会が提出した法案が、教団の財産保全をめぐって折り合わず、本日の採決を見送ることとなった。
自民党の高木毅、立憲の安住淳の両国会対策委員長が国会内で会談し、2つの法案を提出した5党の協議が続いており、来週5日に衆議院法務委員会で法案の採決を行い、5日のうちに衆議院本会議でも採決を行う方向で合意した。
高木氏は、本日衆議院法務委員会で法案の採決を行いたいと提案。これに対し、安住氏は5党の担当者が行っている法案の修正協議を踏まえるべきと主張した。最終的に、両氏は週明けの5日、衆議院法務委員会で採決し、直ちに本会議においても行うことで合意した。
立憲と日本維新の会は、解散命令請求を受けた宗教法人が「財産隠し」をできないよう、裁判所が財産の保全を命じられるようにすることを盛り込んだ法案を提出している。 一方、自民、公明、国民民主の3党は、解散命令請求を受けた宗教法人の財産の監視を強化する法案を提出しており、1日も衆議院法務委員会で2つの法案の審議が行われた。
自民・公明・国民の3党は、財産保全は憲法が保障する財産権や、信教の自由を侵害する恐れがあるといった指摘をしているが、多くの宗教団体から支持を受けており、その意向を汲んでいる面がある。
全日本仏教会や神社本庁、新宗連(新日本宗教団体連合会)などが加盟する公益財団法人「日本宗教連盟」が11月22日に「世界平和統一家庭連合(旧・統一協会)の被害者救済のための法律案について」と題する声明を発表した。
声明では、立憲と維新の案を念頭に「会社法の保全の規定を宗教法人に乱暴に当てはめることはあってはならず、また利害関係人の解散命令請求を受けた利害関係人による保全申立てを認めることは、濫訴による混乱も招きかねない」と危惧を表明している。
一方で被害者や離教した2世などから、与党や宗教団体が財産保全に否定的なのは、統一教会を擁護する動きだといったSNS上で強い批判の声が挙がっている。
自民党をはじめとする与党側も、旧統一教会寄りとの批判を受けたくない反面、日ごろ、支持層といえない人たちが統一教会批判の急先鋒に立っており、内心気に入らないところがあるだろう。産経新聞社発行の月刊『正論』が先月号で解散命令請求に異議を唱える特集を行うなどの動きもあり、岩盤支持層の意向を重視する面がある。
政権に近いとされる『読売新聞』は29日の社説で、「修正協議を重ねて一致点を見いだし、法整備を図るべきだ」としたうえで、「自民党政権は、霊感など教団の悪質な商法を見過ごしてきた。そうした経緯を考えれば、被害者の訴訟を後押しするのは当然だ。一方、肝心の財産保全策について、不動産を監視するだけで十分と言えるのか。現金の自由な処分が可能となれば、被害者を確実に救済できるのか不安が残る」と与党案に注文を付けた。
与野党で丁寧に議論し、被害者救済のために知恵を出して、法案を成立させるべきである。
【近藤 将勝】
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