2024年12月23日( 月 )

人類は滅びるのか、踏ん張れるのか(2)残念!オイルショック再来を期待したが!

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失せたホロコーストの大義

 「ハマス殲滅」の旗の下にイスラエル軍はカザ地区に見境のない爆撃攻撃を行った。この殺戮で民間人が無差別に殺されていった。

 ユダヤ人は第二次世界大戦で、ユダヤの血をひくドイツのヒトラーから600万人超が虐殺された。世にいうホロコーストである。150万人以上の15歳以下の子どもたちも命を失った。ユダヤの種を絶やすためである。このため、地球上から抹殺されるところまで追い込まれたユダヤ人は、「受難の民族」と世界から認識されるようになった。

 ところが、今回のカザ地区無差別爆撃によるパレスチナ人の皆殺しを狙った暴挙で、「ホロコーストの犠牲者ユダヤ人」という被害者の立場を自ら放棄してしまった。逆に、全世界から憎しみの対象になり下がった。果てはユダヤ人の若者の世代から、「ユダヤ人の名前を利用した殺戮行為は即刻、中止しろ!」という強固な反対行動が起きた。ユダヤ民族内でこれだけの世代間対立・反目が生じたのは初めてのことであろう。

ハマスの攻撃に驚愕

 何よりもイスラエル支配者層を驚愕させたのは、ハマスによるロケット攻撃の威力である。思い出していただきたい。1973年のオイルショックが生じたのは、アラブ側に打つ手がなく、苦肉の反攻策として石油の輸出をストップせざるを得なかったことが原因だ。

 あのとき、イスラエル軍は電撃的な攻撃で南に、東に、北にと各戦線でアラブ側を圧倒した。アラブ側は軍事面ではなす術がなかったのだ。今回のハマスの先制攻撃はイスラエル軍のお株を奪うものである。イスラエル軍は、冷静さを失ってパレスチナ人殲滅という暴挙に走るしか方策がなかったのであろう。

ホルムズ海峡封鎖説が流れる

 イスラエル軍のパレスチナ人大虐殺を目の当たりにしたイランが、「対抗策としてホルムズ海峡封鎖する」という情報が流れた。筆者は「これで日本再起のチャンスがきた」と小躍りした。前記した通り、ちょうど50年前の1973年にオイルショックで物価が高騰した。トイレットペーパーの買い占めという庶民の行動が新聞の一面で報じられた。半年で物価が倍以上に膨らんだ。となれば、庶民たちの給料がそれに見合う倍にならないと暴動が生じる。

 当時の日本の組織は若かった。民間企業では2年後の1975年までには給料が2倍に跳ね上がった。公務員層も2年遅れて1977年までには2倍の給料アップが果たされた。と同時にドルに対して円が強くなっていった。このオイルショックがきっかけとなって経済大国の道が開かれたのである。だからこそ「ホルムズ海峡封鎖によってまた物価倍増となり、日本経済の立て直しができるかな」と期待したのであるが…。

封鎖されれば日本沈没

 イランは賢明な判断をし、ホルムズ海峡封鎖という無謀策を選択しなかった。熟慮すると石油の輸入ストップで物価が2倍以上に跳ね上がると、すでに動脈硬化状態になっている老人国家=日本が機敏に対応できない。日本沈没になったであろう! 日本には踏ん張れる余地は皆無である。

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