現代版平家滅亡物語=安倍家消滅物語(4)民間事業者の覚悟を見習え
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建築設計事業主2例から学ぶ~福岡一の伸長率 Aの場合
Aは父親の転勤で中学まで海外生活を体験してきた。「一番、影響を受けたのがイギリス時代であった」と述懐する。あるマンション会社にて設計士としてサラリーマン生活を送るが、彼の生来はもともと、独立心溢れる性格である。同僚連れで会社を興したのが33歳の時であったか。職場結婚した妻も設計士であった。彼女は仕事をしながら子ども3人を出産した。そんな妻女の協力がなければ、事業の成功は覚束なかった。
Aの持ち味は相手の懐に入る能力である。筆者はかなりの方々を紹介したが、短期間で相手様から信用を得て実績を積み上げていった。こちらも嬉しくなるから「Aの為なら」と各方面の方々を積極的に紹介した。そのせいだけではないだろうが、かなりの大型工事も受注できるようになった。
圧巻は今年、社員たちをニューヨーク視察に連れて行ったことである。「建築設計のセンスを磨くにはマンハッタンが一番」という信条を抱いていたからだそうだ。予算は1人あたり70万円だったという。当然、Aの経営姿勢は話題になる。外部の建築士たちから転籍の希望が来るようになった。そして、福岡の業界ではこの10年間で一番の売上伸張率となった。
最初は建築家を目指したB
Bは神奈川県出身。妻が福岡出身であったという縁で福岡において仕事をするようになったという。Bについて記述するには「建築家と建築士」の違いについて考えねばならない。建築家とは己の描いた設計に己の自らの思想を体現する存在。建築士は与えられた枠内で設計して、現場指導を行う存在である。Bは福岡で名を馳せていたある建築家を頼って就職した。いわゆる、大家の下での丁稚奉公であった。10年辛抱して「俺の極める道と違う」と退社した。ただし、この丁稚奉公の蓄積が大きな財産となった。
Bは福岡の老舗設計事務所に再就職した。3年経過して「君は我が社の社長候補だ」と指名された。B自身は一心不乱に業務に没頭した。平凡な建築士ではなく、著名な建築家の元で研鑽を積みセンスを磨き上げたことが武器となった。Bを指名してくれるクライアントが増えた。
そして、「やはり雇われ社長ではつまらない。独立しよう」という気持ちが募り、会社を起こしたのである。Bの場合も妻女が設計士でAと同様だ。しかし、社員採用の方針が違う。極力、外部の同業他社(気の合う同志達)と共同で取り組むようにしている。
AとBの経営者としての基本信条
2人のプロフィールを簡単に紹介したが、彼らは元来サラリーマン人生を全うする玉ではなかった。一国一城の才覚を有していたのだ。当然ながらリスクを背負う覚悟は決めていた。2人ともクライアントを開拓する自信を胸に秘めていたのであろう。
Aの方は現在、3年分の設計業務を蓄積している。あと2人設計士が欲しいとか。Bも予想しなかった量の仕事の打診があるようだ。だが、2人とも気を引き締めている。「長時間かけて信用を築いてきたが、一瞬の気の緩みで信用を落とす実例に立ち会ってきた。ここは我が身も社員たちも業務専念に徹するべきだと意識している」とAは語る。
2人とも出身は関東だが、福岡に縁があったことに感謝している。Bは「設計業務を通じて社会に貢献することが己の使命と言い聞かせて奮闘してきた。好きであるから苦労を厭わなかった」と振り返る。そして福岡の都市再開発、それによる変貌に携わりながら、「福岡中心部で語り草になる物件設計に携わってみたい」(B)と野望に燃えている。
A・Bとも民間経営者として当然の原則を語っている。(1)会社・己の理念・信条、(2)リスク覚悟、(3)クライアント満足、(4)社員への責任。この4項目がなければ経営の存続はあり得ない。
親分へ裏金バック
ところで、検察特捜による自民党への捜査が本格化してきた。と同時に、自民党政治家たちの体質が露呈されてきた。その様子には驚き呆れてしまうが、まずは安倍派を瓦解させることを完遂しなければなるまい。
「派閥指導部からはキックバックを記載する必要がないからと言われたからしなかった」とか、「すみません。ありました。キックバックの金額は60万円しかありません」など言い訳を連発している。それらを聞くにつけ、「この連中を国会議員として放置させるわけにはいかない」と怒りが込み上げてくる。
裏金は税金対策ではないかという素朴な疑問が関係者議員たちには湧いてこないのか、不思議でならない。「俺様は特別な存在」と思い込んでいるのか。国民たちはボーナスにも課税されるのだぞ!(当連載(3)を参照)。
前大臣は一転して豹変した。「まったく身に覚えがありません」ととぼけていたのが、「すみません。ありました。60万円のバックリベートがありました」と過去の発言を撤回する。たったの60万円の端金であるから問題にならないであろうと開き直る始末なのだ。彼は「国会議員とは何か?」を考えたことがないのであろう。
萩生田氏の裏金(1億円強と囁かれている)の行先がクローズアップされ、派閥の裏ドン・森氏へ上納していたことが露呈された。森氏が「安倍派の次の頭領は萩生田で行くべき」と強硬に押していたのは上納金のせいなのである。萩生田氏という政治家はごつい風貌であるから、自分の腕力でポストを握るのかと一抹の期待を抱いていたのだが、あてが外れた。
実権があるのかどうか定かではないが、総額1億円以上を上納したのであろう。ヤクザの世界と同様に金次第で首脳ポストを得ることができるのだ。この男、とてもじゃないが、リスクを背負って事業を起こすほどの玉、器ではない。
前記した経営者の基本信条に照らし合わせて、どれだけ政治家として資格を有する奴らがいるか。安倍派にはゼロであろう。こういう派閥は粉砕されるべし!
(追記)政治資金にも課税
冒頭登場したAの会社は設立10年になる。前期には法人税、事業税の合計1,000万円強を納税している(当然、消費税別途)。この納税をするための血反吐を吐くほどの苦労を「タカリ屋集団」=国会議員たちは理解できないであろう。今朝(18日)の西日本新聞の「堤論2023」にて日本総合研究所調査部主席研究員の藻谷浩介氏が「政治資金にも課税せよ」と論じている。同感だ。国会議員たちはまず納税者の義務を全うしてこそ議員特権を与えられるべきなのである。政治資金規正法は、税法の観点から強化しなければなるまい。
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