2024年11月26日( 火 )

次期総選挙で自民が野党転落

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 NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は、「政治資金パーティーの収入と支出が収支報告書に記載されていないことは、派閥の意図的かつ組織的な違法行為であり、これが摘発されない場合、法律の意味がなくなり、日本は無法の国になる」と主張する12月27日付の記事を紹介する。

 政治資金を集めるためにパーティーを開催しているのだから、その収入を収支報告書に記載し、同時にその政治資金を何に使ったのかを記載して報告しなければならない。

 ところが、いま問題になっている事案ではパーティー券の収入の一部が収支報告書に記載されていない。収入が記載されていないから支出も記載されていない。問題はその記載漏れが事務上の手違いによって生じたものではないこと。派閥が意図的にパーティー券販売の収入を収支報告書に記載せず、支出も記載しなかったということ。

 パーティー券を販売したのは議員である。ノルマを超えたパーティー券販売分の資金を議員側にキックバックしたり、議員側でノルマを超えた販売分の資金を派閥に送金せずにプールしていたりしていたとのこと。参議院議員通常選挙が行われる年に選挙に立候補する議員にはノルマを課さず、パーティー券販売資金の全額が議員側でプールされていたとも伝えられている。

 これらの措置が派閥の指導の下で、意図して実行されていた疑いが強まっている。議員の側は派閥の指示に従い、パーティー券収入を収支報告書に記載せず、連動して支出も記載していなかったという。幼稚園の園児なら、この種の抗弁も通用するかもしれない。幼稚園の先生が園児に指示して、園児は先生の指導に従っただけであると。

 しかし、行動したのは各議員の側だ。派閥から指示があったとしても、その行為が適法であるのか違法であるのかをチェックして判断し、行動する責任は各議員の側にある。派閥から指示があったから、それに従ったまでとの抗弁は通用しない。「政治とカネ」の問題は常に最大の注視点だ。議員である以上、「政治とカネ」の問題にはことさらに注意を払うのが当然のこと。それぞれの議員が弁護士等のチェックを受けるのが当然の作業になる。「適法か違法か分からなかった」は国会議員としての抗弁にならない。同時に問題になるのは派閥の対応。自民党の大派閥だ。当然のことながら、常に法律顧問とあらゆる問題について精査をしているはず。

 政治資金パーティーのパーティー券を販売して、その収入がありながら、その収支を一切収支報告書に記載しないという選択はない。法律の専門家でない普通の市民でも、これを理解できない者は一人もいないと言って過言でない。解釈の相違や事務上の手違いでない。意図的に、そして組織的に違法行為を実行してきたことになる。

 日本の政治を支配し続けてきた巨大政党の最大派閥の問題だ。違法な行為を違法であることを十分に認識しながら、その違法行為を長期にわたり実行してきたことになる。これが摘発され、処罰されないなら、もはや法律など意味がないことになる。違法なことを違法であると知りながら実行してきたことについて、責任追及がなされないなら、日本は無法の国になる。すべての国民の違法行為、無法行為を罰することができなくなる。

 金額の問題ではない。政治資金収支報告書への不記載の罪を問うことが絶対に必要だ。法律の規定に則り、罰金刑でも何でもよい。法律に基づき摘発し、処罰する必要がある。無罪放免はあり得ない。いま白日の下に晒されている問題は、法治国家の根幹にかかわる問題。法律の定めがあり、その定めの存在を確実に知りながら、違法行為を実行してきたことが明らかになったということ。

 メディアの取り上げ方はまったくの迫力不足。

※続きは12月27日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「次期総選挙で自民が野党転落」で。


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植草一秀の『知られざる真実』

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