えだのさんがころんだ
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NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は、「日本の政治状況は自民党による法律違反と政治資金規正法の抜け穴の問題で混迷し、この混乱のなかから新しい政治の方向性を見出す必要がある」と主張する12月27日付の記事を紹介する。
日本政治の混迷が極みに達している。国会は立法機関。国権の最高機関である。国会の役割は法律を制定すること。
法律を定めて法律を執行する。これが行政の役割だ。
その国会の最大勢力である自民党が党を挙げて法律を踏みにじる行動をとり続けていた。法治国家の根幹を破壊する暴挙だ。
法律の定めとして政治資金の流れを明らかにすることが定められている。政治資金規正法の第一条に次の条文が置かれる。
(目的)
第一条 この法律は、議会制民主政治の下における政党その他の政治団体の機能の重要性および公職の候補者の責務の重要性にかんがみ、政治団体および公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治団体の届出、政治団体に係る政治資金の収支の公開ならびに政治団体および公職の候補者に係る政治資金の授受の規正その他の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もつて民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする。政治資金規正法は、「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため」「政治資金の収支の公開、政治資金の授受の規正を講ずることにより」「政治活動の公明と公正を確保し」「もつて民主政治の健全な発達に寄与する」ことを目的として定められた法律。
「政治資金の収支の公開」が根幹の1つ。抜け穴だらけの法律であるとはいえ、議員立法で制定した法律だ。議員が提案して議員が可決して制定した法律。この法律に重大な抜け穴を創作したのも自民党だが、自分たちでつくった法律であるから、最低限、法律を守ることは必要だ。
法律を定めた議員、議員団が、自分たちで定めた法律を、意識して、そして意図して組織的に踏みにじる。これが今回の自民党パーティー裏金不正事件である。
国権の最高機関、国の唯一の立法機関である国会を構成する議員、議員団が集団で、自分たちが定めた法律を踏みにじる行為を、意図的に、組織的に実行してきた。関与した議員全員の議員辞職が求められる事案だ。
2023年は癸卯(キスイのウ)という年回りだった。安岡正篤著『干支の活学』によれば、
「「癸」は「癸測」など「はかる」の意。はかるには標準や原則が必要。筋道を立ててはかる、処理するの意で、筋道をなくせばご破算になる。他方「卯」は干の四番目。子丑寅と伸びてきた植物が卯に至って蔽いかぶさるように繁茂してくる。「癸」と「卯」が重なる「癸卯」という年は「万事筋道を立てて処理してゆけば繁栄に導かれるが、筋道を誤ると、こんがらがり、いばらやかやのようにあがきのつかぬことになる。果ては、混乱・動乱、ご破算に至る。」
自民党は筋道をなくし、ご破算に突き進んでいるように見える。年が明けて2024年は甲辰(コウボクのタツ)に転じる。
引き続き安岡正篤『干支の活学』に基づくと、
「甲辰(コウボクのタツ)」の甲はよろいで、よろいをつけた草木の芽が殻を破って頭を少し出した象形文字。人事に適用すると、旧体制が破れて革新の動きが始まることを意味する。他方、「辰」は理想に向かって辛抱強く、かつ慎重に、いろいろの抵抗や妨害と闘いながら歩を進めてゆく意味。「甲辰」の意味するところは、旧体制の殻を破って革新の歩を進めなければならないが、いろいろの抵抗や妨害があり、困難と闘う努力をしながら、慎重に伸びてゆかねばならないということ。」
となる。「癸卯」の2023年に筋道を通すことを怠り収拾すべからざる行き詰まりに到達していれば、「甲辰」の2024年は、その殻を破る苦しみに直面する年になる。
2024年は旧体制から新体制への移行が暗示されている。自民党は自壊の道を歩む可能性が高い。その混迷のなかから、新しい日本政治の息吹を見出すことができるか。自民自壊は鮮明だが、これに代わる主役が鮮明でない。
この点に最大の課題があるのが2024年ということになるだろう。
※続きは12月27日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「えだのさんがころんだ」で。
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