2024年11月21日( 木 )

【福岡IR特別連載125】長崎IRの崩壊「根っ子はすべて同じ」 岸田政権に思う(前)

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我が国の転換期、天の「龍神」が怒っている

 今年の干支の龍又は竜は、古来より「神」の世界の最高位を表すものである。世間は、かっ てないほど凄まじい昨年末からの新年である。

 正に、天の神が世界とこの国の「偽善者のとんでもない」行いに怒りを爆発させているかのようだ。世界はウクライナにイスラエル、この国では岸田政権下の体たらくーービッグモーター、ダイハツ、地震に津波、羽田の航空機事故ーー我が国と各組織の偽善者、これら人間の行いが神の怒りをかい、上に強く戒められている。

「減点主義」がもたらした、人を育てない30年

ハウステンボス イメージ    筆者の予測通り、昨年末の12月27日、岸田政権はこの機に及んで、遅れていた「長崎IR」の政府承認をめぐり、表向きの理由を付けて、承認しないという結論を発表した。これは選挙の影響などを考慮した政治家たちの偽善的な結論である。

 しかし、実際には、長崎IRの事実上の崩壊は、2022年9月に既に起こっていた。その際には、HISの澤田氏からハウステンボスが中国共産党習近平政権に近い中華系企業PAG社に売却され、同時に当時のハウステンボスの主要株主である九州福岡経済界の九州電力、西部ガス、JR九州なども株式譲渡を完了し、すべてが終了していた。

 従って、長崎県の大石知事を筆頭にする各自治体関係者、さらには地元の九州福岡経済界の倉富九州経済連合会長なども含む支持者らによるこの「長崎IRの崩壊」に対するコメントは、非常に無知で偽善的な行動であると言える。

 これらの関係者の発言は、異なる言葉で表現されていても、本質的には「同じことを言っている」ことが明らかで、自己保身のためのものであり、情熱や真剣さを感じられない。これは非常に浅薄なものだ。

 岸田政権下で現在起こっている「表向き」の政治資金規正法違反に関連する発言、例えば「現在は検察の調査下で、その影響もあり差し控えます」とほぼ同じで偽善的なものであり、説明責任を果たそうという意志が感じられない。

 近年の組織の指導者たちは、皆同じような傾向を示している。表向きは「神妙な姿勢」を保ち、残念などと心にもない表現をしているが、本音では自己保身考えている。これは非常に愚かしいことだ。彼らは「サラリーマン首相」や「サラリーマン議員」、「サラリーマン重役」に過ぎず、何事も成し遂げられないだろう。世界の笑いものである。

 年末から年始にかけて組織関係者や偽善者たちが引き起こした問題の根本には、金融機関やマスメディアを含む、ここ30年間の国内の「病巣」が存在している。筆者はこれを「コンプライアンス・ガバナンス症候群」と名付け、組織の中でこれを言い訳にしている人々が日本中に広がっていることに警鐘を鳴らしている。

 岸田首相を含む現政権下の政治家たちでは、例えば萩生田前政調会長や西村前経済産業大臣など一部の人々が、小細工や策略を考えているように見える。しかし、彼らはいわば「減点主義」の下で、小利口に育った人たちであり、我が国の中心で舵取りをするなど出きるはずもない。

 学校教育を含むすべての組織や人々は、評価の基準や仕組みを見直し、ここ30年の失敗を指摘する「減点主義」ではなく、人に対する「加点主義」に切り替えるべきだ。学業の成功だけを追求し、小さな失敗を過度に恐れる人々が組織の上にいる。しかし、失敗しないパーフェクトな人物などはどこにも居ない。「失敗は成功のもと」である。食品会社のCM「腕白でも良い。たくましく育って欲しい」のように大人になった者でないと、大きな事はできないだろう。今日ではこうしたCMはほとんど見られなくなった。

大阪中心の関西都市圏、あとは福岡と東京の2大都市圏

 連載の初めから、「東京都中心の関東都市圏」、「大阪市中心の関西都市圏」、そして「福岡市中心の北部九州都市圏」の3つの主要都市圏以外ではIR(統合型リゾート)は適さないと強く主張し、詳しく解説してきた(名古屋市中心の中部都市圏は文化的に異なるので除く)。

 北海道苫小牧市や和歌山市、佐世保市にIRが求める規模の市場がないことは、誰でも理解できるだろう。さらに、安全保障上の懸念からも、中華系企業が所有・運営するハウステンボスが日米防衛にとって重要な位置を占める佐世保市にIRを誘致することは、誰が考えても無理だ。長崎県と佐世保市の関係者たちは、まだこの事実を理解していない。なんと愚かなことか。

 最近、西日本新聞も「長崎IRは最初から無理だった」という筆者と同様の記事が掲載している。それならなぜ九州経済連合会の倉富会長やJR九州の石原元会長らがIR誘致に協力する行動に対して疑問を投げかけなかったのか。各マスメディアも各マスコミも忖度だらけの組織ではないか。

22年米国Bally's 記者発表

 一昨年の3月、米国の老舗Bally's Corporation(米国ロードアイランド州、ニューヨーク証券取引所上場)は、福岡へのIR進出の可能性について、ホテルオークラ福岡に全国のマスメディアを招いて大々的な記者発表を行った。内容は現在でもネットで容易に確認できる(福岡 IR誘致促進委員会You Tube)。当時の在福岡米国領事館首席領事のジョン・テーラー氏の挨拶は非常に理解しやすく、一見の価値がある、

 福岡市都市圏の市場規模は年間で来場者約460万人、売上額約2,500億円、税引き前利益約570億円を見込むとされている。対照的に、崩壊した長崎IRは年間の来場者数673万人(当初は840万人)、年間売上額2,716億円などとされていたが、これは「福岡IR」と比較しても驚くべき数字で、バラ色のとんでもない机上の計画だ。

 まして「長崎IR」の中心施設であるカジノは、欧州の小規模業者であるカジノ・オーストリア・インターナショナルという、IR経験のない事業者が運営することが計画されていたにもかかわらずだ。

(つづく)

【青木 義彦】

(125・中)

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