2024年11月23日( 土 )

暗雲が立ち込めている世界経済と韓国の現状(後)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏

課題は山積

 日本にいたときに各地に行く機会が多く、地方都市の発展に驚いたことがある。現在の韓国は日本にはおよばないとしても、ソウル以外の地方都市でもビルが林立しているところが増え、ここまで力をつけてきたのかと実感させられることがある。戦争による廃墟から世界10位にランクインするくらい、韓国は経済成長を成し遂げた。しかし、韓国経済は現在、曲がり角を迎えているような気がしてならない。

釜山港 イメージ 第1に韓国の人口の減少だ。現在も人口はたったの5,000万人で、市場が小さすぎるが、そのうえ市場が縮小しつつある。韓国政府は出生率を引き上げるために、ありとあらゆる手を打っているが、いまのところ効果がない。2つ目は家計負債の大きさだ。家計負債の総額は約1,900兆ウォンとされ、増加のスピードはオーストラリアに次ぐ世界2位で、経済発展の妨げになる恐れがある。なお、韓国の家計負債には住宅を借りる際の保証金はカウントされておらず、これを入れると、実際の金額は約3,000兆ウォンになり、OECD加盟国のなかでトップとなる。家計負債は経済成長に一時的に寄与するものの、度を過ぎた負債はデフォルトのリスクを孕んでいるので、結果的にはマイナス要因となる。

 このような状況に置かれているため、23年の経済成長率は25年ぶりに日本よりも低かった。GDPランキングでも10位から13位に順位を落とし、韓国の代わりにロシアが10位に入った。IMFは世界経済の見通しを発表した際に、主要先進国の成長率は上方修正したが、韓国だけは成長率を1.7%から1.3%に下方修正したほどだ。アジア開発銀行は韓国の予想成長率を1.5%から1.3%に下方修正し、アジアのなかでは韓国の成長率が一番低かった。

 原因は2つがある。1つ目に韓国経済は輸出が成長を牽引してきたが、主要国への輸出が減少したことだ。とくに中国への輸出が大幅に減少した影響は大きい。2つ目はウォン安である。ドル換算でウォンは12.9%ウォン安になったため、統計上ドル換算での経済規模は縮小した。統計庁の発表によると、景気循環周期は22年10月にピークをつけ、その後韓国経済は縮小期に入っているという。縮小期は約20カ月続くようだ。輸出だけでなく、消費、投資など、指標はすべて悪くなっている。経済を支えている製造業はとくに深刻な状況である。24年は韓国の経済はまた飛躍するのか、それとも挫折するのかを占う重要な年になりそうだ。

(了)

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