崖っぷちの韓国建設会社、倒産の危機に直面する(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏中堅建設会社のショック、連鎖倒産が危惧される
大型建設会社のなかでは、ロッテ建設(株)が不動産PFのリスクにさらされていることが巷では噂された。ロッテ建設が支払保証をした偶発債務の金額は、約6兆7,000億ウォンであるが、そのなかの約半分が満期を迎えることになっていて、市場ではデフォルトが懸念されている。ロッテ建設は有償増資やグループ企業からの借り入れで、急場を凌いできているが、ロッテ建設の資金繰りに業界関係者は神経を尖らせている。
そのような状況下で、建設会社ランキング16位の泰栄建設(株)が先月28日に会社更生手続き開始を申し立てをし、業界に衝撃が走っている。債務比率が高く、問題視されてはいたものの、こんなに早く更生手続きを申請することになるとは思わなかったようだ。現在不動産景気が冷え込んでいるうえに、昨年から不動産に対するプロジェクトファイナンスはほぼストップしていて、建設会社は資金繰りに追われて破産するケースが増えている。
韓国信用評価によると、昨年9月を基準に、国内の上位16位までの建設会社は支払保証をした合計金額が28兆3,000億ウォンで、20年末(16兆1,000億ウォン)に比べて75%増加している。建設工事が無事完了しない場合には、建設会社が施工会社に代わって金融機関に支払をしないといけない。債務のなかで満期が1年未満のものも60%になり、今後の推移が注目されている。更生続きを申請した同社の負債比率は何と478.7%で、業界ではもっとも高い水準であった。不動産PFの残高は3兆2,000億ウォンくらいに推算されている。この金額は今後増えてくる可能性もある。
このようになった背景には、昨年から続いている高金利、原材料の高騰、不動産景気の冷え込みで分譲できない住宅が積みあがっていることがもっとも大きな原因だろう。韓国全国で分譲されていない住宅数は5万8,299戸に上り、そのなかの87%である5万972戸は地方に所在している。建設しても分譲されないので、工事に着手しない現場も増えている。そのような流れのなか、不動産PF市場ではリスクが増大しつつある。建設現場のなかで約47%は着工すらできないという。建設と分譲が進むことによって、借入金の返済ができるようになるが、資金が回らないので、悪循環に陥っている。
このような現象は実は昨年から予見されたもので、今始まったことではない。今年韓国では国会議員の選挙があるので、票を意識して、世論が悪くならないように返済の満期がきても、それを延長することで危機を先送りしてきた。しかし、選挙が終わったら、満期を延期することもできなくなり、一気に問題が浮上する可能性が高い。ファイナンスした金額の延滞率も、22年末の1.19%から昨年9月末には2.42%まで上昇している。これ以上この問題を傍観してはいけないというシグナルでもある。
政府も方針を変え、満期を延長する政策から業界再編に舵を切ろうとしている。最も懸念されていることは、資金回収できなくなった金融機関にまでリスクが広がり、金融業界に危機が飛び火することだ。高金利政策は不動産市場には大きなダメージで、住宅価格は下落し、借り入れコストは増大し、資産価値は目減りし、消費を抑制する結果につながるので、その影響は大きい。韓国人の資産の約8割は不動産で、不動産景気が悪くなると、韓国経済成長が鈍化するのも避けられない。
不動産市場発の資金繰り悪化はほかの業界にも波及している。10年くらい先行投資をして始めて、果実を享受することになるバイオ業界にも寒波が押し寄せている。ほぼ開発完了を間近で、もうそろそろ果実を手にするところまできていたのに、資金が底を付き、事業継続ができず、社員をやめさせたり、事業を売却する事例が続出している。不動産市場に大きな試練が待ち受けているようだ。
(了)
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