2024年11月24日( 日 )

インドネシアの高速鉄道受注で日本と中国が競争

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

station インドネシア・ジャワ島に計画が浮上している「高速鉄道」で、日本と中国が凌ぎを削りあっている。首都ジャカルタとバンドンを結ぶ約140kmの区間が対象となっており、これまで安倍政権はインドネシアに大使を派遣、中国側は李克強首相がインドネシア高官と会談を行うなど、双方がインドネシア政財界に対して、売り込み攻勢をかけている。しかし、インドネシア国内では「本当に高速鉄道が必要なのか」「財政負担が大きい」「時間を短縮する必要性がない」といった批判も上がり、「計画見直し」という案も出されている。

 バンドンは人口約250万人の中規模都市で「ジャワのパリ」と呼ばれるほど、インドネシアの経済、文化の発展を支えてきた。そのなかで、ジャカルタ~バンドン間にはすでに「高速道路」「鉄道」が開通しており「いまさら作る必要があるのか」という声は根強い。実際、日本が技術導入を行って2007年に開通した台湾新幹線が、チケットの値段が高いことや中間駅が都心から遠いことなどから需給バランスが合わず、経営危機に陥ったという例もある。

 インドネシアの鉄道案では、中国側は「低価格、融資の融通」を武器、日本側は「安全性」を切り札としているが、経済成長を背景に安値攻勢で押す中国が、現時点では「優勢」とされている。また、国内では高速ではなく「中速」でも良いのではといった意見も出されている。「不要論」も含めて、情勢は揺れている。

 一方で、中国は、大型国有企業・中国鉄路総公司が、アメリカ・ラスベガス~ロサンゼルス間の370kmで、高速鉄道を建設することで合意。来年9月には着工する予定で、まさに中国鉄道業界は波に乗っている。中国国内でも、とくに西側内陸地域に向けて、高速鉄道によるインフラ整備も着々と進展。台湾メディア関係者は「アメリカ、インドネシアだけでなく、中国鉄道業界は、発展途上国を含めて、どんどん売り込み攻勢をかけるだろう」と話している。

【杉本 尚丈】

 

関連記事