日本の住宅事業者の海外進出活発化 積水ハウスはM&Aで全米5位に
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積水ハウス(株)は18日、現地グループ会社を通じ、米国の戸建住宅会社であるM.D.C. Holdings, Inc.(本社:米国コロラド州、以下MDC)の全株式を取得、子会社化することを明らかにした。買収金額は約49億5,400万ドル(約7,200億円)で、買収の実行は2024年上半期となる予定だ。
MDCはコロラド州デンバーに本社を置き、16州 34都市において事業を展開する上場ホームビルダー。22年度の売上高は約57億ドル(約8,400億円)で、同年度の引渡戸数ベースで全米第11 位(9,710 戸)となっていた。
MDCの子会社化により、米国での事業展開エリアを 16 州に拡大し、22 年度の引渡戸数ベースで全米 5 位(年間約1万5,000戸)の規模を誇るホームビルダーグループを形成することとなった。
積水ハウスは、17年のWoodside Homes Company, LLCの完全子会社化を皮切りに米国に進出。25 年度の海外市場で、年間 1万戸の戸建住宅を供給するという同社グループの目標のもと、M&A戦略を推進していた。
同社は住宅供給のみならず、米国で毎年行われている最新技術の見本市「CES」に日本の住宅事業者として初めて出展するなどすることで、現地の住宅事業者などとの交流を深めていたことが、このような米国における事業拡大の要因の1つになっているものと見られる。
海外展開を強める理由とは
米国ではこのほか、住友林業(株)や大和ハウス工業(株)などの大手ハウスメーカーも現地住宅企業をM&Aをして事業を拡大している。このうち、住友林業は2019年の引渡戸数では全米のホームビルダーで第10位に相当する規模となっていた。大和ハウスは、2022年に米国戸建住宅会社3社で、6,010戸の戸建住宅を供給している。
分譲マンションや賃貸住宅分野を含め、このほかの企業でも米国進出が相次いでおり、日本資本は米国の新築住宅マーケットで一大勢力になっている。このほか、豪州や東南アジアでは大手ハウスメーカー以外でも進出している事例がある。
たとえば、西日本鉄道は現在ベトナム、インドネシア、アメリカ、タイ、フィリピンの5カ国で海外不動産事業を展開。米国では賃貸住宅の供給などを行っている。
このように日本の住宅・不動産企業が海外進出・展開を活発化させているのには、少子高齢化を背景とした国内の新築住宅需要の縮減が本格化。海外での売上で国内売上の減少を補い、持続的な成長につなげたいという思惑がある。
また、米国を含む海外には、今や年間売上高が5兆円に迫ろうとしている大和ハウス工業のような巨大企業がほとんどなく、日本企業でも資本力を背景に進出しやすいということも背景の1つといえる。
また、日本の住宅市場は早くから工業化(プレハブ化)が進み、少なくとも施工における生産効率という点では世界トップレベルの水準にある。そうした点も強みにすることで、日本の住宅事業者の海外展開が活発化している。
【田中 直輝】
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