相次ぐ北朝鮮のミサイル挑発で高まる緊張(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏そのような状況下で、ハマスのイスラエルへの奇襲攻撃があり、これに倣って北朝鮮も同じ行動に出るのではないかと専門家は警戒している。経済力において韓国との差が圧倒的になってしまった北朝鮮にとっては、大規模な奇襲攻撃しか勝ち目がないからだ。反撃できないくらいの速さで奇襲攻撃をかけながら、特殊部隊を用いた破壊工作を仕掛けて、北朝鮮が韓国を壊滅させようとすることは十分考えられる。
軍事専門家によれば、ハマスはイスラエルへの攻撃に5,000発ものロケット弾を発射したが、北朝鮮は1時間に推定1万6,000発の砲撃が可能だという。北朝鮮がやるとしたら、このような奇襲攻撃か、局地的攻撃だと思われるが、もし思惑が外れれば、北朝鮮は自滅することになるので、そのような選択肢はなかなか取れないだろうと筆者は判断している。
しかし、戦争というのは偶然によって発生するものなので、誰も予断はできない。韓国側も北朝鮮への先制攻撃を口にするほど強硬な姿勢を貫いているなか、南北間の軍事合意も昨年11月に破棄されてしまったので、緊張が高まり、偶発的な衝突から戦争に発展するのではないかと心配されている。
挑発の背景と狙いは
韓国と米国は北朝鮮に非核化を求めていた。非核化の見返りとして、北朝鮮は体制の保証と経済制裁の解除を米国に求めていた。しかし、その折り合いがつかず、北朝鮮は核・ミサイルの開発に体制の運命をかけている。金総書記にとっては、現体制を存続させる一番の方法は核の保有しかないと思っているからだ。そのような意味において、北朝鮮が核保有国となれば、米国からも一目置いてもらい、今の停戦状態を平和協定に変え、体制を維持できると思っている。
金総書記に、核やミサイルの開発以外に切れるカードがないのが実情である。北朝鮮は現在、韓国と日本、それからグアムまで打撃できるほどの核弾頭50~60基を保有していると見られている。コロナ禍のなかでロックダウンも実施し、経済が疲弊しているなか、内部の統制だけでなく、米国との交渉を有利に進めるため、北朝鮮はミサイル発射を繰り返さざるを得ない状況である。
しかし、核・ミサイルの開発は、一方では北朝鮮に経済的に深刻なダメージを与え、ある専門家はそれがむしろ北朝鮮の体制崩壊につながる恐れがあることを指摘する。ますますエスカレートする北朝鮮の脅威に韓国もその対応が急がれている。潜在的な攻撃に対するソウルの備えの1つに、飛来するミサイルを迎撃するための韓国型ミサイル防衛(KAMD)システムの強化などが活発に議論されている。しかし、ミサイル防衛システムというのは、莫大なコストがかかるだけで、あまり意味をなさないようだ。
北朝鮮は東アジアの火薬庫になりつつあり、緊張が高まっている。
(了)
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