環太平洋火山帯で相次ぐ地震と火山の噴火:北朝鮮の白頭山と日本の富士山も要警戒!(前)
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国際未来科学研究所
代表 浜田 和幸リング・オブ・ファイア
2024年の元旦、能登半島は大地震と津波に見舞われました。この大規模な天災により亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された方々やそのご家族および関係の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。小生も輪島や羽咋とはご縁があり、しばしば足を運んできました。早期の復旧と復興を願うばかりです。
注目すべきなのは、規模の大小の違いはありますが、環太平洋火山帯に位置する国々では地震や火山の噴火が相次いでいることです。いわゆる「リング・オブ・ファイア」(炎の輪)と呼ばれる現象で、太平洋に面する地域にある活火山は100をはるかに超えているのですが、近年、噴火したり、地震を誘発したりするようなケースが急増しています。
たとえば、アメリカの西海岸、南カリフォルニアのロサンゼルスなどでは能登半島大地震が発生する直前から群発地震が続いています。日本ではあまりニュースになっていませんが、アメリカでは「グランドキャニオンの大噴火の引き金になるのでは」といった懸念の声が聞かれるようになりました。
また、インドネシアでは昨年末から西スマトラ島のマラピ火山が頻繁に噴火を繰り返しており、多数の登山客が犠牲となっています。地域の住民には避難命令が繰り返し出されている模様です。この1月14日にも大噴火が発生し、火山灰は1,300m上空まで立ち上りました。さらには、北欧のアイスランドでも火山の噴火が収まりません。
地震大国といわれる日本であれば、普段から危機対応を怠らないことを肝に銘じておかねばなりません。岸田首相は地震発生から2週間経った1月14日、ようやく被災地を訪問。多くの国民が命を失い、着の身着のままの避難所生活を余儀なくされているわけで、最高指導者とすれば、先ずは現場を訪ね、救援や復旧に向けての陣頭指揮を執るべきではないかと思わざるを得ませんでした。ところが、岸田首相の現地での滞在時間は90分足らず。地元の被災者の間には、言葉だけの「寄り添い」に失望感が広がったものです。
それとは別に、各国が驚いたことがあります。何かといえば、能登半島地震の発生直後、北朝鮮の金正恩労働党総書記からお見舞いの電報が岸田首相に届いたことです。北朝鮮の最高指導者が日本で発生した災害に対し、お悔みのメッセージを素早く寄せるのは前例がありません。その裏には何があるのでしょうか?
北朝鮮に迫る自然災害
実は、北朝鮮でも巨大な自然災害が迫っていると思われるのです。中国との国境付近に聳える白頭山は、朝鮮民族の聖地と見なされ、日本でいえば富士山のような特別な存在。そんな白頭山は100年に1度の小噴火と1000年に1度の大噴火を繰り返してきた活火山に他なりません。
これまで朝鮮半島では地震は起きないといわれてきましたが、最近では月に300回以上もの地震が観測されるようになっています。近年、北朝鮮が繰り返す地下核実験の影響かも知れません。数年前に公開された韓国映画「白頭山大噴火」が現実のものとなるのでしょうか。
地震や火山の噴火の予測は簡単ではありませんが、北朝鮮や中国は万が一に備えて白頭山の地表の変化を観察し、合同の避難訓練も実施しています。韓国も日本も同様で、気象衛星を使い、24時間体制で監視を強化中です。
とはいえ、最も気にしているのは金正恩総書記でしょう。何しろ、初代最高指導者である金日成主席は、この白頭山を根城とした抗日パルチザンという神話の持ち主で、その息子の金正日総書記も孫の金正恩総書記も「白頭山の血統」を政権維持の錦の御旗にしているからです。
もし、白頭山の大噴火という事態になれば、過去の記録からも明らかなように、朝鮮半島のみならず日本の日本海側は火山灰で覆われ、壊滅的な被害を受けかねません。今回の金正恩総書記からの岸田首相へのお見舞い電報には、そんな危機的状況に陥った場合には、日本からの支援をお願いしたいとの思いが込められている風にも読み取れます。
思い起こせば、岸田首相は外務大臣のとき、「白頭山噴火の場合には、北朝鮮、韓国に限らず、中国、ロシアとも協力し、日本の知見も活かしたい」と述べていました。であるならば、このところもミサイルの発射訓練を繰り返し、韓国への核攻撃を示唆するような金正恩総書記に対して、大噴火の引き金となるような核実験を止めることを条件に北朝鮮の求める災害救援計画に協力するといった交渉を始めるチャンスかも知れません。
(つづく)
浜田 和幸(はまだ・かずゆき)
国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。近著に『イーロン・マスク 次の標的「IoBビジネス」とは何か』、『世界のトップを操る"ディープレディ"たち!』。関連キーワード
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