2024年11月30日( 土 )

能登半島地震による輪島市の復旧状況(2)

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運輸評論家 堀内 重人

 元旦の午後4時10分に発生した直下型地震の能登半島地震。気象庁の発表では、この地震のマグニチュードは7.6であり、内陸部で発生する地震としては日本でも稀な大きさの地震であったという。3月10日時点の輪島市の交通インフラやライフラインの復旧状況を中心に、現状を報告したい。

交通インフラ(2)道路

写真5 のと里山海道
写真5 のと里山海道

    北陸地方の高速道路は、北陸自動車道の丸岡IC~新潟中央JCT間、東海北陸自動車道の小矢部砺波JCT~白川郷IC間、能越道の開通済み区間の全線、のと里山海道(自動車専用道路)の全線で通行止めとなった。

 のと里山海道は(写真5)、金沢市から同県鳳珠郡穴水町へ至る自動車専用道路であり、石川県道60号金沢田鶴浜線、同県道1号七尾輪島線のそれぞれ一部から構成されている。この道路も、複数の箇所で道路の陥没や土砂崩れなどが発生した。なお、この道路は自動車専用道ではあるが、有料道路ではない。

 一般道路が寸断されていたことから、被災地へ向かう車はのと里山海道を使用せざるを得ず、この道路に集中した。その結果として渋滞が発生したため、災害復旧用の車両や緊急車両の通行に支障を来した。

 そこで石川県は1月7日から、のと里山海道の県立看護大学IC~徳田大津IC間の下り線だけでなく、同県道3号田鶴浜堀松線の徳田大津IC~大津交差点間の穴水町方面を、災害関係用の車両を除き、通行止めとする交通規制を実施した。また輪島市の輪島ICから富山県砺波市の小矢部砺波JCTまで、能登半島を縦断する総延長約117kmの高規格幹線道路である能越自動車道でも、穴水IC~のと三井IC間での道路崩壊など多数の被害が生じた。

 穴水IC ~のと三井IC間は現在も通行止めであり、金沢~輪島間を結ぶ高速バスは(写真6)、1月25日から臨時ダイヤで運転を再開したが、その区間は一般道を走行している。この高速バスは3月15日までは運賃が無料で、運行本数は1日当たり2往復しか設定されていなかった。それ以外の区間は1月10日の午前10時までに通行止めが解除された。

写真6 金沢~輪島間を結ぶ高速バス
写真6 金沢~輪島間を結ぶ高速バス

    北陸自動車道は複数の箇所に段差、クラック、陥没などの被害が生じた。1月2日の21時までに点検や補修が終わり、通常の速度での走行は無理ではあるが、通行止めは解除された。

 高速道路以外の一般国道のうち、国道160号では石川県東浜で一時通行止めが発生した。国道249号は石川県内の多くの区間で通行止めとなった。国道359号は、富山県小矢部市から石川県金沢市へ向かう区間で地震による道路の崩落が発生し通行止めとなった。その他、国道415号が石川県羽咋市で通行止めが発生した。

 県道は新潟県・富山県・石川県・長野県の4県で一部路線が通行止めとなった。能登島へつながる能登島大橋と中能登農道橋(ツインブリッジのと)が通行止めとなり、1月2日午前に能登島大橋の通行規制が解除されるまで、同島内で約800人が孤立状態となった。能登空港では地震で周辺の道路が寸断されたことから、2日午後まで約500人が空港内で孤立した。

 一般の路線バスは、2月5日より臨時ダイヤで穴水輪島線(写真7)と穴水線が再開された。さらに、3月1日より臨時ダイヤで町野線が再開された。輪島市内の無料循環バスは2月5日より運行が再開された。輪島市内では、砂利で舗装された道路もあるなど、応急処置的なかたちで復旧していたりする。

写真7 穴水輪島線
写真7 穴水輪島線

(つづく)

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