見事に復活したビットコイン、今後の行方は(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏ビットコインの誕生と暗号資産時代の到来
ビットコイン(BTC)は2008年、世界的な金融危機をきっかけに登場した。私たちが普段使用する法定通貨は常に発行枚数を増やすことができるためにインフレに陥りやすいが、ビットコインは最初から発行上限が2,100枚と決められていて、さらにむやみな増発ができないようになっている。加えて、ビットコインは金融機関など仲介者の介入なしに、ブロックチェーン(分散型台帳)という技術を活用して、P2Pの取引を可能にしている。ビットコインは世界で最初の仮想通貨として登場したため、「仮想通貨」と聞くと、多くの人の頭に真っ先に浮かぶのは多分ビットコインだろう。
発行当初のビットコイン価格は1円もしなかったが、現在は1,000万円近辺で取引されている。ビットコインはとくに新興国においては、公共の金融インフラとしての役割もはたしている。その理由は、世界ではいまだに銀行口座をもてない人が数多くいるからだ。そのような状況下で、ビットコインはスマートフォンとインターネット環境があれば、誰でも簡単に取引できるのがメリットである。出稼ぎ労働者が自国に海外送金をしようとしたら、10日くらい時間がかかるうえ手数料も高いが、ビットコインを使うと安く、素早く送金もできる。
ビットコインはインフレに強いことと、戦争などの有事において価値保存の手段として注目され、活用されている場合もある。しかし、ビットコインは商品やサービスを購入する方法としてはまだ広く採用されていない。
ビットコイン直近の高騰
ちょうど4年前、新型コロナウイルスの感染拡大で金融市場全体に大混乱がもたらされ、ビットコインが一気に急落した時期があった。2020年3月12日に7,960ドルで始まったビットコインは終値で4,830ドルとなり、翌日には3,860ドルまで下落した。ビットコインはその後も上昇と下落を繰り返した。一時期は「仮想通貨の冬」と言われ、ビットコインの価格が停滞していた時期があったが、2024年になってビットコインのブームが戻ってきた。
ビットコインの価格は3月5日に史上最高値にまで膨れ上がり、その後も上昇を続けている。ビットコインの価格は2月だけでも70%が上昇し、その後7万2,000ドルに達する時期もあった。ビットコイン価格はバブルで間もなく調整されると考えている人がいる反面、その価値が近い将来には100万ドル(約1億5,000万円)に上がるだろうと予測する人もいる。このようにビットコインが今後もっと値上がりするだろうと予測する人が多いなか、ビットコインの実績を分析できる企業は存在しないし、ビットコイン自体は何の収益を生まないため、ビットコインの価値に対する評価を疑問視する議論も多い。
ただ、ビットコインは高騰したことでその時価総額は1兆4,070億ドルとなり、銀の時価総額である1兆3,880億ドルを上回り、資産全体で時価総額8位となった。資産のなかで時価総額1位はゴールドで、時価総額はビットコインの約10倍に相当する14兆6,640億ドルである。
(つづく)
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