戦闘機を輸出、韓国航空産業の実力は(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏韓国航空産業の歩み
20世紀初頭の飛行機の発明から、ジェットエンジンの導入、さらにはコンコルドのような超音速旅客機の登場により、世界中を移動することが可能となった。産業面においても飛行機の登場により、新素材の開発など、さまざまな技術革新がもたらされた。
韓国の航空産業の歴史は、米国の戦闘機を国内でライセンス生産したことが始まりである。米国から技術を教わりながらスタートした韓国の航空産業だが、現在では戦闘機を輸出できるまでに成長した。
韓国で最初に製造された飛行機は、「T-50」という練習機である。同機は韓国航空宇宙産業(KAI)と米ロッキード・マーティン社が共同開発した機種で、エンジンはゼネラル・エレクトリック(GE)社のものである。
戦闘機のエンジンは非常に高い耐熱性と超高圧や超高温に耐えられる耐久性が求められており、生産できるのは数カ国に限られている。機械工学の集大成と言っても過言ではない航空機製造は、製造業の最上位と位置づけられている。
戦闘機を世界に販売している米国は、部品の販売やソフトウェアのアップグレードでも多大な収益を上げている。戦闘機は30年以上使用することがざらなので、購入代金が3割だとしたら、残り7割は部品やアップグレード費用となるので必然的に収益も大きくなる。
コア部品の修理となると、米国からエンジニアが派遣され、現地で修理することになるが、通常は6カ月から1年程度待たなければならない。また、新しく開発されたミサイルを装着するにも米国の許可が必要である。米国の支援のもとソフトウェアのアップデートをしなければミサイルを装着しても「無用の長物」となってしまうのである。
相次ぐ輸出契約
韓国航空宇宙産業(KAI)は2011年、インドネシアに16機の超音速航空機「T-50」を総額約4億ドルで輸出する契約を締結した。これに加えて同国は21年、「T-50」6台を追加導入することとなった。
T-50系列の機種は、米国の支援を受けて開発された飛行機で、多くの納品実績があり、優れた性能と安全性が認められている。KAIはその後、「T-50」をベースにした軽戦闘機「FA-50」を開発、2022年9月にはポーランドと48機の輸出契約を締結した。
「FA-50」はNATO加盟国が運用中である「F-16」と互換性の高いことが強みの1つとして挙げられる。KAIは契約してから、わずかな期間で「FA-50」とほぼ同じ仕様の「FA-50GF」12機をポーランドに納品済みである。また、同社はマレーシアとも「FA-50」を18機納入する契約を交わした。東南アジア市場ではインドネシア、フィリピン、タイに次ぐ4番目の契約で、26年に納品を開始する。なお、納品は最大で36台まで拡大する可能性もあるという。
「FA-50」の次期モデルは「KF-21」で、22年に初めての試験飛行を行った。戦闘機であるKF-21の価格は同レベルの他国の戦闘機に比べ、価格的な競争力があるのに加え、納品が早く、部品が安いことが特長である。
(つづく)
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