2024年11月23日( 土 )

戦闘機を輸出、韓国航空産業の実力は(後)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏

コア部品の国産化はこれから

イメージ    航空機で最も重要な部品はエンジンだが、その航空機のエンジンを開発できる技術を有するのは世界でも数か国しかない。

 当然ながら、エンジンには数百トンの航空機を飛ばす役割が求められるうえ、長時間駆動させられるだけの耐久性が求められる。また、飛行機のエンジンが故障すると墜落事故につながり、多数の犠牲者が出てしまうため、多くの検査項目をクリアする必要がある。

 「KF-21」のエンジンは米国製である。ゼネラル・エレクトリック(GE)社の「F414エンジン」の設計図面とコア部品を用い、韓国の工場でライセンス生産して組み立てを行う。従って今後「KF-21」を海外に輸出するには、米国の承認が必要となるわけだが、米国が拒否すると、輸出もできなくなる。

 このような状況下で、中国は独自の新型航空エンジン「WS-15」の開発にほぼ成功している。また、インドも航空エンジンを生産できるようになった。米国のバイデン大統領が中国をけん制するため、GE社の「F414エンジン」をインドで共同生産し、コア技術も移転すると発表したからだ。

 韓国も航空エンジンの開発に挑もうとしている。韓国はこれまでの40年間で1万台近くの航空エンジンをライセンス生産したことで、エンジン開発に必要な力をつけてきている。部品のサプライチェーンなども完璧ではないものの、揃ってはいるので、開発が成功する可能性は十分あると専門家は指摘している。航空エンジンの開発には、莫大な予算と10年以上の歳月がかかるというが、それでもエンジン開発がもたらすメリットのほうが大きいのだという。

米国進出を狙う

 米国海軍は25年の下半期を目標に145~220機の高等訓練機を、27年を目標に64~132機の戦術訓練機を導入する計画である。ライバルは米国企業になるが、価格的なメリット、納品の速さ、性能など、韓国企業は米国企業と比較しても優位性があるのだという。仮に米国に戦闘機を輸出することになったら、世界で約1,000機運用されることとなり、戦闘機の輸出において韓国は米国に次ぐ世界第2位に浮上することになる。戦闘機の輸出における韓国企業の動向に世界中が注目している。

(了)

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