2024年11月21日( 木 )

韓国総選挙、与党の惨敗で政権運営はいばらの道に(前)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏

最大野党の圧勝で終わった総選挙

韓国 イメージ 韓国で4月10日に行われた第22代国会議員選挙(総選挙)は11日午前、開票作業が終了し、最大野党が圧勝する結果となった。最大野党「共に民主党」は過半数を上回る議席を獲得し、少数与党「国民の力」は現有議席割れとなった。尹大統領が大統領に就任して2年も経たないうちに行われた選挙で、与党が野党に大差で負けたのはあまり例がない。

 韓国の総選挙は4年に1回で、5年に1回行われる大統領選の中間に行われる。そのため韓国の総選挙は就任した大統領への中間評価に位置付けられる場合が多い。今回の総選挙も3年の任期を残す尹大統領の「中間評価」という性質の選挙で、選挙の結果は野党側が選挙戦でアピールした「政権審判」に多くの票が集まった結果となった。

 全300議席のうち、共に民主党は選挙区で161議席、共に民主連合で14議席など、合計175議席を獲得。国民の力は選挙区で90議席、系列政党である国民の未来で18議席、合計108議席にとどまった。曺国(チョ・グク)元法相が率いる「祖国革新党」は12議席を獲得し、残る5議席を他の新党などが占めた。

 選挙前の現有議席は、共に民主党が156議席、国民の力が114議席(ともに系列政党を含む)で、政権与党と国会の多数派がねじれている状態だったが、今回の選挙結果でも「ねじれ」現象は解消されなかった。

 今回の総選挙は国民の関心が高く、総選挙の投票率は67.0%となり、前回の2020年選挙より0.8ポイント上昇、1990年代以降では92年総選挙の71.9%に次ぐ高さとなった。

 今回の選挙で野党側が圧勝したので、支持率が3割台と低迷する尹政権の求心力は今後ますます低下しそうだ。尹大統領は注力する政策を進めようとしても野党に阻まれるのは必至で、政権運営は「いばらの道」を歩むことになるだろう。ただ、国会議員の3分の2以上の賛成により、大統領が拒否権を行使した法案などへの再可決や大統領への弾劾が可能となるが、与党がかろうじて100議席超を獲得したことから、そのような最悪な状況は回避できた。

 今回の選挙結果を踏まえ、尹大統領は11日午前に「総選挙での国民の意思を謙虚に受け止め、国政を刷新する。経済と民生の安定のために最善を尽くす」と表明した。しかし、総選挙の結果を巡って今後慌ただしい動きが起こることは予想される。

 国民の力の選挙戦を率いた韓東勲(ハン・ドンフン)非常対策委員長は同日、敗北の責任を取り辞任すると表明した。最善を尽くしたものの、国民の審判の厳しさを身をもって体験したかたちとなった。また、韓悳洙(ハン・ドクス)国務総理も辞意を表明。今後、選挙結果を踏まえて人事の刷新などがありそうだ。

(つづく)

(後)

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