韓国NO.1検索エンジン「ネイバー」の存在感(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏世界的な成功を収めつつあるウェブトゥーン事業
マンガは紙のページをめくりながら読むものだが、ウェブトゥーンはスマホで画面をスクロールしながら縦読みするデジタル漫画である。ウェブトゥーンは日本と韓国でかなり定着しており、スマホでマンガを見ている人を電車内などで多く目にするようになった。
ネイバーはウェブトゥーンをコンテンツ事業の柱として捉えており、知的財産権の確保という観点からも、同事業に力を入れている。ウェブトゥーンはドラマや映画に比べて製作費が少なくて済むので、同社は作品が大衆受けするかどうかをまずウェブトゥーンで試して、高い評判を得た作品だけをドラマ化、映画化するという戦略を取っている。
コンテンツビジネスにおいて、ウェブトゥーンは「種」の役割をはたし、貴重な知的財産権の確保につながる。加えて、ドラマや映画がヒットすると、ウェブトゥーンをまだ読んでいない人が映画やドラマの公開後、ウェブトゥーンに新規に流れ込むという効果もある。
同社のサービスはすでに世界約100カ国で利用されており、今後はとくに北米市場での成長が期待されている。世界のウェブトゥーン市場規模は、2021年が37億ドルで、年平均36.8%ずつ成長し、30年には561億ドルになることが予想されている。このような流れを受け、アップルやアマゾン、日本の楽天、ヨーロッパ最大の漫画出版社でもあるフランス企業もウェブトゥーン事業に続々参入している。
ネイバーは将来の成長エンジンとしてウェブトゥーン事業とコマース事業を考えているようだ。コマース事業を成長させるため、同社にとって最大の買収も行った。米国に拠点を置く中古品マーケットプレイスのポッシュマーク(Poshmark)を12億ドル(約1,700億円)で買収したのだ。11年に設立されたポッシュマークのユーザー数は、8,000万人以上で、北米市場における同分野のナンバーワン企業である。
大規模言語モデル開発を世界で3番目に完了
ネイバーは21年、世界で3番目にLLM(大規模言語モデル)のハイパークローバーを発表した。今後、この生成AI技術は、自社の検索エンジンを始め、コマース事業でのレコメンド機能など、さまざまな分野に応用されていくだろう。
また、同社はサムスン電子と提携して、AIチップの開発にも取り組んでいる。韓国の現代自動車が自動運転関係のプラットフォームを開発する際、ネイバーの協力が欠かせないといわれている。ネイバーは韓国企業において膨大なデータを確保している企業であり、韓国では「次世代のサムスン」とも言われている。しかし、LINEの行方次第では、同社の事業が揺らぐ可能性があり、今後の動向が注目される。
(了)
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