「ハンドパワーで病気が治る」福岡地裁がアースハートと後継団体に賠償命令
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スピリチュアルブームにより霊感商法などの被害が依然なくならないなか、「ハンドパワーで病気が治る」などとして高額なセミナー受講料をだまし取られた参加者らが損害賠償を求めていた裁判で、福岡地裁は24日、セミナーの事業会社とその後継団体に約2,440万円の支払いを命じた。
訴えによると、福岡県や佐賀県などに住む20代から70代までの34人のセミナー参加者は、実在しない「ハンドパワー」があるなどと言われて、受講料などの名目で高額な金銭をだましとられたとして、セミナーの事業会社・(株)「アースハート」(福岡市東区)と、事業を継承した(一社)「セントマザー」(同)に対して約2,460万円の損害賠償を求めていた。
アースハートの活動をめぐっては、2015年に同様の損害賠償を求める訴訟で非科学的な手かざし治療の違法性が認められ、最高裁で賠償判決が確定している。
また、民事だけでなく、刑事事件にも発展した。13年1月、同社の元社長で、実質的な指導者である女性らが、福岡地検特別刑事部に逮捕・起訴された。容疑は法人税法違反。元社長の女性は、もともと別の宗教団体の元幹部であった。罪状は、買い取った宗教法人に寄付するかたちで、会社の利益数10億円を隠匿した行為で、刑事事件は1審・2審とも有罪となっている。
昨日の判決で、福岡地裁の林史高裁判長は、「ハンドパワー」を「客観的な科学的・医学的裏付けを欠くもの」と指摘し、セミナーなどへの勧誘行為を「社会的相当性を逸脱する違法な行為」と認定した。原告らの主張の多くを認め、アースハートとセントマザーに、すでに和解が成立した金額を除く約2,440万円の支払いを命じた。
一昨年、旧統一教会問題で霊感商法の問題がクローズアップされたが、現在も宗教以外でも、セミナーなどを利用して、あたかも霊力などが存在するかのように装い、受講料名目で金銭をだまし取る手法が問題となっており、今回の判決は、同様の事案に対しても影響を与えることは間違いない。
【近藤将勝】
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