2024年12月21日( 土 )

待望のイーサリアム現物ETFの取引開始(後)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏

ETF承認の意義

 米SECによるイーサリアムの現物ETF承認は、金融市場に暗号資産が投資の対象として認められたということで、その意義は大きい。暗号資産は、これまで個人投資家が中心になって投資してきたが、今回の承認で機関投資家も暗号資産に投資できるようになったことを意味する。

イーサリアム イメージ    これまで機関投資家は、規制の不確実性、暗号資産の管理問題、価格操作に対する懸念などから暗号資産に投資できず、市場の動向を見守っていた状況だった。しかし、今回のETF承認で、そのような懸念が大きく払拭され、年金基金、大学財団ファンドなど機関投資家のポートフォリオに暗号資産が組み入れられることになると、大きな資金が暗号資産市場に流入し、価格の上昇をもたらすかもしれない。ETFが新たな資金流入のきっかけとなり、今後、既存の個人投資家と機関投資家両方が投資するようになるだろう。いずれにしても、金融市場で暗号資産が徐々に受け入れられ、暗号資産に対する法律なども整備されていくと思われる。また、今までイーサリアムが証券であるか否かという議論をめぐっては、不透明性が高かったが、今回の承認によって、イーサリアムは有価証券ではなく、コモディティ(商品)であることが明確になった。

 しかし、ETF承認に当たって、ステーキングの収益は排除された。ETFはイーサリアムを直接保有したほうが得なので、ETFの投資メリットはビットコイン現物ETFと比べて、魅力が薄いとの指摘もある。だが、ビットコインに次いでイーサリアムにETF承認が下りたことは、以前と比べ、大きな前進であることは間違いない。

今後の展望

 イーサリアム現物ETFが承認されたことによる懸念点もある。機関投資家が大きな投資をすればするほど、脱中央どころか、中央化に向かうという点である。また規制が厳しくなればなるほど、中央化される可能性も高くなる。それに、ETFが承認されたからと言って価格の変動性がなくなったわけではない。

 価格の変動性は相変わらず暗号資産市場には存在する。一方で、多くの資金が流入すると、プロトコルの改善や人材の確保など、良い循環を生むことになり、イーサリアムの発展につながることになるという主張もあり、今後の動向を注視していく必要があるだろう。

(了)

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