15年ぶりにチェコ原発受注の可能性に沸く韓国(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏受注確定まで課題も山積
今回のチェコ原発プロジェクトをめぐって、受注に成功しても、利益はそれほど出ないだろうという噂も立っている。なぜかというと、チェコ政府が原発の事業予算として組んだ金額は、60億ユーロ(約9兆ウォン)に過ぎず、価格交渉の過程で契約金額は予算に合わせて大きく縮小される可能性が高いからだ。
韓国の提示価格はフランス企業の半値くらいで、中国企業よりも安かったという噂も流れている。それで、今回のプロジェクトは赤字になる公算が大きいと専門家は警鐘をならす。しかし、原発の建設は長期間にわたって行われ、運用など建設以外の収益もあるので、建設費用だけで損得勘定をするのは、適切ではないという意見もある。
もう1つの課題は、知的財産権の問題である。アラブ首長国連邦のバラカ原発受注の際にも、韓国企業は米国のウェスティングハウスに技術諮問料とロイヤルティーを支払っている。今回もウェスティングハウスは韓国水力原子力にはその技術を使う権利がないとし、同社を米国の裁判所に提訴している。自社の同意なしでは、チェコ原発の建設ができないという立場である。このような知的財産権の問題がどのような結果になるかによって、プロジェクトの採算性も違ってくるだろう。
原発の建設には15年という長い歳月が必要であるため、その間にどのような環境の変化があって、それがリスクになるのか現在では知る術がない。ヨーロッパでは環境対策に積極的なので、いつ原発の代わりに再生可能エネルギーに力を入れるようになるのか誰にもわからない。
また、チェコの労働者の勤務時間は週40時間で、韓国より短いため、工期を遅延させる要因となり得る。短い工期を前提に安い価格で受注した案件が、資材費の高騰、工事の遅延などで、ペナルティなどを払う羽目になったら、原発建設は大きな赤字に陥りかねない。
しかし、一方で原発の受注は関連産業全般に活気をもたらすきっかけにもなる。造船や製造業などで中国が台頭し、韓国は競争優位性を失いつつあるなか、チェコの原発受注を皮切りに、ヨーロッパの原発案件を受注し、原発を韓国の長期の輸出産業に育てていくことを韓国政府は願っている。韓国政府の希望通りになるのかどうか、今後の推移が注目されている。
(了)
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