着実に成長を続けて27年地域に根ざした総合建設会社へ

データ・マックス30周年記念特集「組織永続化への挑戦～企業30年説を打ち破れ～」

2024年9月5日 09:30

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（株）OZ工務店

　（株）OZ工務店は1997年に小川工務店として創業し98年に建設業許可取得、2007年に法人化した。現在に至るまで着実に事業を拡大している同社の強みは、土地の取得から設計・施工・アフターサービスに至るまで全工程をプロデュースしたいというチャレンジ精神と高度な技術力、そして人材を活かす独自の企業風土にある。

社風の背景にあるのは代表者小川氏の包容力

　「社員たちと接する際、いつも彼らの家族のことが頭をよぎります」。

こう語るのは（株）OZ工務店の代表取締役・小川和敏氏だ。福岡市内の工業高校を卒業後、別の会社に社員として就職するが、父親が大工だったことから家づくりの世界に見習い職人として飛び込む。親方のもとで、基本的な道具の扱いから職人としての心構え、商売の仕方まで、大工としての手ほどきを受け、仕事を覚えていったという。今から考えれば多少まどろっこしくもあり懐かしくもある時代だ。そうした職場はとても人間臭く、周囲の人々はみな家族のように近しかった。修行時代の若き日々の経験が、OZ工務店の社員たちと接する際の態度の根底にあるようだ。

　「よいのか悪いのか、わかりません。でも、みんな家族がいると思うと、多少の失敗では強く叱れないんです」。こう笑顔で語る小川氏。では、社員の家族と積極的に親しくしているのかというと、「ほとんど知らない」という。直接ふれあうのは社員たちだが、自身の家族まで気遣ってくれる小川氏のそうした態度に、人間としての包容力を感じているに違いない。そうした精神が同社の社風を形づくっているようだ。

社員のやる気を優先し本気なら権限を与える

OZ工務店の「O」は「Offer」「Z」は「Zone」を指し、地域（Zone）に技術を提供（Offer）していこうというのが社名のコンセプトという。

　創業から27年を迎えた現在では、グループ売上高は昨年が23億円、来期は30億円を見込むほどの企業に育った。当初は木造住宅を専門にしたどこにでもある町の工務店だったが、小川氏はその才覚で徐々にフィールドを拡大。今では総合建設会社の肩書きをもつまでに事業の幅を拡げているのだ。

　「大きな転換期は12年前ごろでした。若い社員の1人がそれまで取り組んでいた木造ではなく、鉄骨の建造物をやりたいと言い出して、任せたことが始まりでした」。小川氏が社員らと接する際に考えるのは、何よりもまず彼らがやりたいことを優先すること。そして、社員が本気だとわかれば存分に権限を与えることだ。英断ともいえるこの人事は見事に功を奏し、この事業はその後の躍進の原動力となる。その時手を挙げた社員は若くして取締役の1人となり、同社を支える貴重な人材となっている。

顧客の期待に応えることでさらに事業幅を拡げていく

　同社躍進の理由はまだある。「他社があまり手がけようとしない困難な案件であっても積極的に取り組む。この姿勢をもっていることが当社の強みの1つです。他社がやりたがらない仕事ですから、やり遂げるには相当の困難をともないます。お客さまの期待に応えていくのは決して容易ではありません。しかしその結果、受注が増えていくことはもちろんですが、社員のスキル向上につながり、これが事業の幅を拡げることに結びついています」。

　難しい仕事も取り組む。言うのは簡単だが、実行していくための苦労は並大抵ではないだろう。ビジネスの可能性を常に模索し、どんな試練もプラスに変換する発想力の豊かさ。これが同社の持ち味だ。そこから見えてくるのは、チャレンジを可能にする小川氏と社員たちの信頼関係にほかならない。

　当然、そうした活躍をしてくれる彼らへの手当ても厚く、たとえば資格取得のための支援制度を充実させるなど、1人ひとりの能力向上に惜しみなく投資する。近年、新卒社員を積極的に受け入れ、期待に胸を膨らませる若い人材を全力で応援する。

　また、カビや感染菌の発生を抑えるFFC免疫住宅の取り組みが目を引く。同社が提供しているFFC免疫住宅とは、FFC（水溶性二量体鉄塩）テクノロジーを活用し、有害化学物質を分解除去、カビや感染菌などの病原性微生物の繁殖を抑制し、善玉常在菌を増加させ、悪玉菌を減少させる住宅だ。