環境に配慮した確かな技術力と誠実な対応で顧客の夢をカタチに

データ・マックス30周年記念特集「組織永続化への挑戦～企業30年説を打ち破れ～」

2024年9月12日 09:30

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（株）サンコービルド

　「人と自然の環境建設」をモットーに、地域に根差した総合建設会社として知られる（株）サンコービルド。創業から半世紀を超えた今なお、「未来」に残る建設物をつくるため、現状に満足せず挑戦し続ける同社の魅力とは──。

炭鉱事業から総合建設会社へ転身

　（株）サンコービルドは、業界上位の事業規模を誇る地場総合建設会社。建築、土木工事などの公共工事から共同住宅、オフィスビル、医療機関、福祉施設、商業施設、物流施設、工場・プラントなどの民間工事を幅広く手がける同社の成り立ちは半世紀を遡る。

　1972年の筑豊地域での炭鉱閉山にともない、それまで坑道掘削事業を手がけてきた経験と技術をトンネルなどの土木事業に活用することを目的に、東京都中央区で三井鉱山竪坑トンネル掘鑿（株）としてスタートした。

　その後、83年2月には三鉱建設工業（株）へと社名変更し、本社を福岡市中央区に移転。トンネル掘削会社から総合建設会社への転身を図った。97年7月に現住所へ移転し、支店の拡充とともに不動産分譲などに進出。2004年3月に三井鉱山グループから独立し、同年8月に現商号に変更した。

　リーマン・ショックなどの逆風もあったが、当時から得意分野であった医療福祉関係の受注に力を入れるとともに、賃貸マンションをはじめとする提案型営業に着目し、建設技術力や提案営業力の強化に地道に取り組んでいった。その結果、24年3月期には売上高189億円、当期利益30億円を計上するまでに成長し、福岡の地場建設会社として盤石な地位を確保している。現在、東京、北九州、筑豊、大牟田、熊本、大分の支店と本社の7拠点体制を築き上げている。

　加えて、施工協力会社組織「サンコー会」の7支部128社が同社を支えることで、安心・安全な建物を提供することができているのだ。

ホールディングス化でさらなる体制強化

　「顧客の満足・信頼」を理念に掲げ、幅広い建設工事を手がけてきた同社は、グループ各社の資本関係を整理し、各社の体質強化や所属社員の企業意識の高揚を図るため、14年2月に持株会社のサンコーホールディングス（株）を設立。

　グループ会社には、介護事業全般を担うサンコーケアライフ（株）、不動産賃貸および管理業と建設業の拡充を図るサンコー開発（株）、建設業をはじめとして施設の環境衛生管理、警備業を手がける（株）九州ビルシステム、公共事業を中心とした土木工事、管更生工事などを行う飯田建設（株）が名を連ねる。

　また、21年には不動産開発により新たな建設需要を自らつくることを目的とした100％子会社である（株）サンコープロパティーを設立。そして、23年には大分の建築設計会社である（株）松井設計を子会社化。さらなる体制強化と業容拡大を目指している。

働きやすい職場環境と受け継がれる理念

　近年、スーパーゼネコンから中小専門工事業者まで建設業界が解決すべき課題は多い。とくに熟練工が引退する一方で、「きつい・汚い・危険」という3Kのイメージがなかなか払拭されず、若手・新規入職者の減少や離職の加速にともなう人手不足が深刻となっている。

　同社ではワークライフバランスを重視し、勤務時間内での業務遂行の実現やチームで協力し合える職場環境を構築するため、業務のDX化推進に力を入れている。加えて、福利厚生や社内制度の充実が重要だと捉え、独身寮の完備、各種資格取得に向けた支援、メンタルヘルスチェック、業績優秀者への社員表彰制度など、社員のモチベーションアップを図っている。

　とくに自社株を購入する社員持株会（業績配当制度）はユニークだ。決算発表の際に社員総会が行われ、持ち株数に応じた配当金を得ることができるのが魅力だ。

　こうした取り組みが奏功し人手不足が深刻化する建設業界のなかでも幅広い年代の人材が同社に集まっている。

　さまざまな年代の人材が切磋琢磨できる環境により、質の高い建設物とサービスを提供することができ、それが顧客満足と社会からの信頼の獲得につながっている。

　設立当初に作成したロゴマークには「地球・人間・自然」の永続性や循環性を3つの円と曲線で表現されており、これら3つの“いのちの根源”と真剣に向き合い、最良の関わりを見出し、調和を図る理想の手法を「環境建設」と称している。