国の借金が増加の一途 韓国、日本の状況(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏国の借金が増え続けている
ロシア・ウクライナ戦争、米中覇権争いなどで、世界経済の先行きが不透明になり、懸念が高まっている。そのような状況下、韓国経済も以前のような力強い経済成長は見られず、低成長時代に入りつつある。
景気が減速すると、政府の収入である税収などは減る一方、経済を立て直すために政府の支出を増やすことになるので、国の借金は増加せざるを得なくなる。政府としては今は借金をしてでも経済成長を実現し、その収入により、後で借金を返すことができるという考え方だ。ところが、韓国も高齢化が進み、今後、生産年齢人口も減少していくので、下手をすると今借金することは、未来世代の負担を増やすことにしかならないと言われている。
昨年の韓国の政府債務は1,126兆7,000億ウォンで、前年比で59兆4,000億ウォン増加したことが明らかとなった。2019年と比較すると、393兆5,000億ウォン(56.3%)も増えたことになる。GDP比の国家債務の比率も50.4%となり、前年の49.4%より1.0%ほど上昇した。
韓国の政府債務は以前それほど莫大な金額ではなかった。ところが、前任の文在寅大統領時代に大幅に政府債務が急増した。文大統領が就任した17年の政府債務は660兆2,000億ウォンに過ぎなかったが、任期が終わる時期の22年には1,067兆7,000億ウォンに増えていた。5年間で62%と大幅に増加したことになる。現政権は政府債務の拡大に歯止めをかけようとしているが、なかなか改善できず、増加傾向にブレーキがかかっていない状況だ。
他国の状況は
隣国である日本の財政状況も厳しい。日本の借金は今年3月末の時点で1,297兆円余りと、8年連続で過去最大を更新した。1年間の増加額は26兆6,625億円で、赤字を埋めるため国債を発行しているが、その額が増加し続け、借金で借金を賄うような状況が続いている。
とくにコロナ禍以降は毎年のように借金が蓄積しており、雪だるま式に増加の一途をたどっているのが現状である。増税をして借金を賄うという考え方もあるが、増税は景気の悪化を招く恐れがあり、将来世代に借金を先送りする方法である国債発行が主に活用されている。日本の国債発行の特徴は日銀が国債を買い入れている点だ。その結果、日銀による国債保有割合は23年3月末に53.3%と、過去最大となった。
米国も世界金融危機やコロナ禍後、景気を刺激するために財政出動をした結果、政府債務が35兆ドルを上回る結果となっている。景気が減速すると、家計や企業の代わりに政府が支出を増やすことになり、政府の借金が増加し続けている。
(つづく)
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