2024年12月21日( 土 )

船井電機会長に原田元環境相が就任

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 船井電機・ホールディングス(株)(以下、船井HD)の子会社で、液晶テレビ事業などで知られる船井電機(株)の大半の株式について、東京都のネット広告会社が仮差し押さえを申請。先月初旬、東京地裁が申請を認める決定を出し、役員構成も入れ替わったことが話題となっている。

 同社は1990年代から2000年代前半、ディスカウントストアなどで、安価なテレビの販売を行うことで知られた。現在も「FUNAI」ブランドで低価格のテレビを家電量販のヤマダホールディングスに供給。海外展開もしており、液晶テレビは北米市場において第4位のシェアを獲得している。21年にIT関連書やビジネス書などを手がける(株)秀和システムに買収されて上場廃止となり、23年より持株会社制に移行した。

 経営の多角化の一環として、同年、脱毛サロンを運営する(株)ミュゼプラチナムを買収したが、1年弱で売却。今回の顛末は「ミュゼ」がネット広告会社に対して多額の負債を抱えていたものの、返済が進まなかったことにある。船井HDは、「ミュゼ」の連帯保証をしており、業を煮やした広告会社が東京地裁に仮差し押さえを申し立てたようだ。

 時期を同じくして、役員構成も変更された。前社長で、秀和システムの代表取締役会長でもある上田智一氏は、9月27日付で取締役から外れた。新社長には、日本政策金融公庫専務や財務省理財局次長を務めた上野善晴氏が就任。驚いたのは、代表取締役会長に元環境大臣の原田義昭氏が就任したことである。

 原田氏は21年の衆院選で落選したが、今も政治に未練があるようで、昨年の筑紫野市長選では平井一三氏を支援し、衆院選でも自民党公認の栗原渉氏に対抗して候補者を擁立する動きを水面下で行うなどしていた。

 原田氏は元通産官僚で中小企業庁参事官も務めた経歴をもつが、官僚と経営者は違う。弁護士資格も有する同氏だが、はたして船井電機の再建に寄与できるのか、注目される。

【近藤将勝】

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