2024年11月19日( 火 )

トランプ氏勝利後にビットコインが続伸(前)

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劉明鎬 氏

ビットコインが急騰

ビットコイン イメージ    ビットコインが上昇トレンドに入ったようだ。ビットコインは13日、9万3,000ドル(約1,442万円、1ドル155円換算)を超え、史上最高値を記録した。ビットコインの価格は、米国大統領選挙の直前には6万8,000ドル近辺で推移していたが、投票日翌日の6日には7万ドルを、8日には8万ドルを突破、そして13日には9万ドルを上回った。ビットコインの現在の価格は1月に記録した今年の安値3万8,505ドルから2倍以上上昇している。これによって、仮想通貨全体の時価総額も、3兆ドルを上回ることとなった。時価総額が3兆ドルを上回ったのは、2021年11月以来3年ぶりのことである。

 ブルームバーグによると、オプション市場でもビットコインに対する期待が高まっており、CME先物市場でも未約定建玉が増加するなど、ビットコインへの関心が高まっている。

トランプ氏当選とビットコイン

 ビットコインの価格が上昇トレンドに入るようになった要因の1つにアメリカのドナルド・トランプ次期大統領が選挙活動中に示した仮想通貨に対する前向きな姿勢が挙げられる。

 トランプ氏は選挙戦で米国を「地球上の仮想通貨の首都」にすると表明するなど、仮想通貨の規制を撤廃し、仮想通貨を育成していく姿勢を示していた。また、共和党が下院を制したことで三権(大統領職と議会上下両院)を掌握、仮想通貨の規制緩和に期待が高まっている。

 トランプ氏は米国政府が現在保有しているビットコインだけでなく、今後取得予定のビットコインも、政府が100%保有していく政策になるだろうと述べた。ちなみに米国政府が保有しているビットコインは21万4,000BTC超で、全ビットコインの1%にあたる。

 国債やゴールドを資産として保有するように、今後、米国政府は仮想通貨のビットコインを保有するというスタンスである。それが実現すれば、ビットコインは世界各国にもっと普及することになるだろう。このような影響を受けてビットコインの価格が上昇している。

現物ETFへの資金流入増加

 ビットコインの価格が上昇トレンドに入った第2の要因としては、ビットコイン現物ETFが承認されて、多額の資金が流入していることが挙げられる。ビットコイン現物ETFが承認されたことで、投資家はSECの監督下にある証券会社の証券口座を通じて株式などと同様に売買することができ、ビットコインを直接買わなくても、ビットコインへの投資が間接的にできるようになった。また、仮に証券会社が破綻しても、投資家の資産は保護される。さらにETF市場の市場規模はすでに7兆ドル(約1,000兆円)という莫大な規模で、金や不動産に投資するETFが多く存在しており、そこにビットコインETFが加わることになったのだ。この結果、機関投資家なども今後ビットコインを投資対象に組み入れやすくなる。

 ビットコイン現物ETFが承認されたのは、今年1月だが、承認以来の流入総額は282億ドルに至っている。直近の6取引日だけでも、ビットコインETFは驚異的な47億ドル(約7,285億円)の純流入を記録している。また、7日のBTC現物ETFの1日の資金流入額は13.8億ドルに達し開始以降最高を記録した。

 ビットコイン価格上昇の背景として、ビットコイン現物ETFへの新規資金の流入を挙げることができる。このような流れのなか、ブラックロックのビットコインETFの純資産は343億7,000万ドルとなり、同社の金ETFの329億ドルを上回った。

 ビットコインETFは現在、ビットコイン需要において圧倒的な存在であり、長期保有者による売りのほぼすべてを吸収している。

(つづく)

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