2025年01月04日( 土 )

【2025(令和7)年福岡県知事年頭所感】福岡県の未来への扉を開こう!

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福岡県知事 服部誠太郎 氏

新年あけましておめでとうございます。

 皆さま方には、お健やかに輝かしき新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。

 昨年は、パリ2024オリンピック・パラリンピック競技大会で本県ゆかりの選手たちが大活躍し、本県で開催されたインターハイでは高校生が躍動しました。福岡ソフトバンクホークスは4年ぶりのリーグ制覇をはたすなど、まさに「スポーツの力」が、私たちに元気を、勇気を、感動を与えてくれた1年でした。

 産業分野では、TSMCの熊本進出に続き、半導体後工程の世界最大手ASEが本県への進出を検討しており、「新生シリコンアイランド九州」の実現に大きく近づいております。また、トヨタ自動車グループと日産自動車の最新鋭の蓄電池工場を本県に建設することが決定し、「グリーン先進モビリティ」の開発・生産拠点構想が大きく前進しました。さらに、本県と福岡市が「金融・資産運用特区」の対象地域に選定され、「世界から選ばれる福岡県」の実現に向けて飛躍した年となりました。

 一方で、国際情勢や円安の影響などにより、エネルギー・原材料価格や物価の高騰が続いており、私たちの生活や産業経済は、依然として厳しい状況にあります。

 こうしたなか、県では、県民の皆さまの命と健康、生活を守ることを第一とし、「1,000億円の人づくり」「県内GDP20兆円への挑戦」「安全・安心で活力ある社会づくり」の3つの柱のもと、世界を見て、未来を見据えて、福岡県の成長・発展を加速前進させるための施策を力強く実行してまいりました。とくに、「将来を守るサステナブル社会への改新」と「未来を拓くイノベーションの創発」の2つの視点をもって分野横断的な施策を展開してまいります。

将来を守るサステナブル社会への改新

「賃金と物価の好循環の実現」「物価高に負けない賃上げ」を目指し、官民労13団体の代表による街頭行動を実施(2024年10月)
「賃金と物価の好循環の実現」「物価高に負けない賃上げ」を目指し、
官民労13団体の代表による街頭行動を実施(2024年10月)

 「サステナブル」では、少子化の進行、人口減少を背景にした人手不足への対応、賃金と物価の好循環の実現など、先送りできない社会課題に立ち向かいます。また、地球温暖化による気候変動、頻発化する自然災害、今後発生する可能性のある新興感染症など、さまざまなリスクから県民の皆さまの現在と将来を守る社会を実現していきます。

 こうした視点に立って、こどもを安心して産み育てることができる社会づくりのため、「出産・子育て安心基金」を活用した県独自の補助制度などにより出産・子育て支援施策を充実・強化するとともに、多様な学びの場の提供など誰一人取り残さない教育の実現に取り組みます。また、輸送能力の減少や人手不足の加速が懸念されるトラック運送事業者や地域公共交通事業者を支援していきます。

 30年間続いたデフレから脱却し、中小企業の持続的賃上げと適正な価格転嫁による賃金と物価の好循環を実現するため、「価格転嫁の円滑化に関する協定」を締結した13団体が連携し、中小企業における取引適正化の取り組みを推進します。

 県内主要活断層による地震被害想定調査やデジタル技術を活用した防災対策、流域治水の推進などによる防災・減災、県土強靱化に取り組みます。

ONEHEALTHロゴ
ONEHEALTHロゴ

    新興感染症や地球温暖化などの課題に取り組む実践拠点「ワンヘルスセンター」の整備を進め、ワンヘルスの世界的先進地を目指すとともに、家庭や企業における太陽光発電設備の共同購入の推進や藻場の再生によるブルーカーボン創出など先駆的な脱炭素化の取り組みを進めます。

未来を拓くイノベーションの創発

 「イノベーション」では、デジタルや先端技術、そして何より「人」が生み出すイノベーションの力で、労働生産性や、企業、産業の付加価値生産性の向上を図り、世界に挑戦する福岡県の未来を切り拓いてまいります。

 半導体、EV・電池、水素など、世界で勝負できる成長産業や、福岡県が人や企業から選ばれるために必要な取り組みに重点的に投資してまいります。

CIC Fukuokaが進出
CIC Fukuokaが進出
台湾ASEは北九州市と市有地(約16ha)の取得に関する仮契約を締結
台湾ASEは北九州市と
市有地(約16ha)の取得に関する仮契約を締結

    こうした視点に立って、「新生シリコンアイランド九州」を牽引していくグリーン半導体の「最先端実装」開発拠点化、先進モビリティ・次世代電池の生産拠点形成と全国初のバッテリーリユース・リサイクルの福岡モデル構築、北九州市響灘臨海エリアを中心とした水素大規模拠点の構築、福岡バイオエコシステムの形成を進めます。

 この春、福岡に開設されるCIC Fukuokaのなかに県の拠点を開設し、スタートアップをはじめ中小企業の成長を支援してまいります。金融・資産運用特区選定を追い風に、県内に集積する成長産業やスタートアップに資金が供給され、付加価値を生み、還流した資金が新たな企業の呼び込みや県内企業の成長につながっていく、好循環(エコシステム)を作り、強化してまいります。

グリーンEVバッテリーネットワーク福岡(愛称:GBNet福岡)設立(2024年7月)
グリーンEVバッテリーネットワーク福岡
(愛称:GBNet福岡)設立(2024年7月)

 なんと言っても、福岡県の未来を切り拓き、担っていくのは「人」です。世界に羽ばたく青少年のチャレンジを全力で応援します。女性の起業を支援し、テクノロジー分野への進出を促進します。産業を支える技術人材を育成するとともに、障がいのある方の就労分野を拡大します。

 福岡県知事 服部誠太郎 氏    このほか、下関北九州道路をはじめとした将来の発展基盤の構築、園芸農業の先端技術研究開発拠点(園芸農業アドバンストテクノロジーセンター)の整備による生産力強化や選ばれるモノづくり、ブランド力向上による、稼げる、夢のある農林水産業の実現に取り組みます。また、欧米豪からの誘客に努め、観光産業の振興に取り組みます。

 今年は巳年です。今年も、これらの施策をはじめ、さまざまな施策を力強く実行し、その「実(巳)」を結ぶことができるよう全力を尽くします。そして、県民の皆さまが安心して、たくさんの笑顔で暮らせる福岡県を実現してまいります。

新年が皆さまにとって、すばらしい1年となりますよう心からお祈りいたします。

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