2025年01月28日( 火 )

グッドスピードとトヨタモビリティ東京に行政処分 管理体制に重大な問題

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 24日、東海財務局は(株)グッドスピード(本社:名古屋市)に対して、また、関東財務局はトヨタモビリティ東京(株)(本社:東京都港区)に対して、それぞれ保険業法に基づく業務改善命令を発出した。

グッドスピードの営業偏重体制に指摘

 今回の処分に先立ちグッドスピードは2023年8月、板金塗装部門を主体とした社内調査により不適切な保険金請求が1,051件中30件確認されたと発表。さらに同年10月、外部取締役を調査委員長とする2回目の調査では、1,664件中91件の不適切事案が判明した。また、24年1月には組織的な不正会計処理の存在も公表された。

 こうした事態を受け、同社は再発防止策として役員意識改革や監査体制の強化、営業偏重からの脱却を掲げていた。ところが、東海財務局による立入検査の結果、2回目の調査は取引銀行からの早期融資再開を目的とした短期間での実施に過ぎず、実態把握や再発防止の観点から十分な調査とはいえないことが判明した。さらに、調査委員長が調査結果を改ざんする不適切な行為を行っていたことも明らかになった。

 今回の業務改善命令では、経営管理体制や保険募集管理体制に関する問題が指摘されている。具体的には、経営陣が営業偏重の風土を放置し、保険募集管理部門の役割を曖昧にしたまま営業部門の傘下に置くことで、牽制機能が働かない組織構造を形成していた。また、保険募集人への指導体制や顧客への適切な情報提供が欠如しており、契約後の早期解約が全店舗の8割で発生する状況にもかかわらず、モニタリング体制を整備していなかった。

 同社の保険業務における不正請求や管理態勢の欠陥が確認されたとして、同局は同社に対して、保険金不正請求疑義事案を含む不適切事案の全容把握や、真因分析を含む業務改善計画の策定を求めた。

トヨタモビリティ東京は管理不全で問題再発

 トヨタモビリティ東京は、トヨタ自動車(株)の直営ディーラーであり自動車の販売や整備に加え、保険代理店業務を行っている。

 今回の処分以前にも同社は、20年2月に高機能塗装やボデーコートの未施工による保険金の過大請求が判明し、再施工を公表。21年9月には、不正車検が発覚し、国土交通省から行政処分を受けた経緯がある。これを受けて同社は「内部管理体制マニュアル」を策定し、3ラインオブディフェンスによる内部統制強化を目指す再発防止策を導入していた。

 ところが、改めて関東財務局が立入検査を行ったところ、同社では修理に使用していない部品代金を保険金として過大請求する事例が多数存在する疑義が認められるなど、保険金不正請求の未然防止に向けた態勢が不十分であることが判明した。同局はその背景として、経営陣に「保険事業は本業ではない」という意識が根強く、保険業務に精通した人材の配備や教育が行われていない状況を指摘している。

 また、個人情報管理態勢にも重大な欠陥が認められた。同社は法令で求められる安全管理措置を講じておらず、2.3万件の個人データが外部に漏えいしたほか、9,489人分のデータを紛失するなどの不適切な事例が発生している。これらの問題は、個人情報保護法に違反している。

 同局は同社に対して、保険契約者の保護を最優先とした改善計画の策定と実行を求めている。

【寺村朋輝】

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