アトレ(JR東日本子会社)、ポイントの費用負担要請する契約変更で公取委が勧告

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 5日、公正取引委員会はJR東日本の子会社である(株)アトレ(東京都渋谷区)に対し、独占禁止法違反(不公正な取引方法)の恐れがあるとして警告を行った。アトレは、同社が運営する商業施設のテナントに対し、「JREポイント」の運営費用の一部を負担させる契約に一方的に変更していた。

 JREポイントは、JR東日本グループが提供する共通ポイントサービスで、鉄道利用やアトレの駅ビルでの買い物などで貯まる仕組みとなっている。

 公取委によると、アトレは24年7月ごろ、自社が運営する商業施設に出店する約600のテナントに対し、25年4月からJREポイントの運営費用の一部を負担するよう求める契約変更を通知した。元の契約では、アトレが全額を負担することになっていたが、同社は協議の場を設けることなく、一方的に負担割合を変更しようとした。

 この変更に対し、一部のテナントからは不満の声が上がっていた。公取委の調査では、あるテナントが「あらがうことはできないので受け入れるしかない」と説明するなど、事実上の強制であると指摘されている。また、契約更新への影響を示唆する発言もあったという。

 公取委は、アトレの行為が独占禁止法が禁じる「優越的地位の濫用」に該当する恐れがあると判断し、アトレに対し、今後同様の行為を行わないよう警告した。

 アトレは調査を受け、契約変更を撤回した。現在、テナント側の同意を得た上で、新たな覚書を締結するための協議を進めているとしている。

 (株)アトレは、東日本旅客鉄道(JR東日本)の連結子会社として、首都圏でアトレ(atré)などの駅ビルの開発・運営を行っている。

【寺村朋輝】

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