2024年11月25日( 月 )

「鹿島は命の重さを認識しろ」住民ら支店前で訴え

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 鹿島建設(株)が元請け施工した福岡県久留米市のマンション住民らが12月17日朝、福岡市の同社九州支店前で、「耐震強度不足の危険マンションを建て替えよ」、「命の重さを認識しろ」とビラを配布して訴えた。

 ビラを配ったのは、「新生マンション花畑西」の住民ら約20人。日本列島がこの冬一番の寒さに見舞われ、ときおり雪が降る中、出勤する従業員や通行人にビラを手渡した。

 住民らは鹿島らを相手取って、耐震強度が基準の35%しかなく倒壊の恐れがあることや、外階段と建物本体をつなぐ重要な梁30本が施工されていなかったとして、損害賠償を求めて訴訟を起こしている。
 新生マンション花畑西は、鉄骨鉄筋コンクリート造、地上15階建て、92戸。1996年1月竣工。住民らは、竣工・引き渡し直後からコンクリートの爆裂や落下などの欠陥に苦しんできた。鹿島は、補修工事済みであり、「設計図どおりに施工しただけ」と主張している。住民らが構造設計1級建築士に依頼して調査したところ、専門家の検証によれば、2013年2月、耐震強度が基準の35%しかないことが判明した。

 住民らは初めての裁判闘争、初めてのビラ配り。この日は早朝、マイクロバスに乗って久留米市を出発し、九州支店前に到着。緊張した面持ちでビラを配った。

 鹿島九州支店から出てきたスーツ姿の男性が、ビラを配る住民を次々に無断で写真撮影したため、恐怖を感じた住民もいた。鹿島本社広報の「裁判の中で丁寧に説明したい」という姿勢とはかけ離れた支店の対応に、住民は「これが丁寧に説明する態度か」と怒りを覚える住民も。マンション管理組合理事長の寺崎敏和氏は「私たちは絶対にあきらめません。頑張ります」と語る。

 初めてのビラ配りは、寒さと緊張と不安、そして怒りと決意に包まれた。

 「鹿島は1日も早く対応してほしい」(63歳、女性)、「19年間疲れました。主人は建物が安全になるのを見る前に亡くなった。安心して住めるマンションにしてほしい」(68歳、女性)と語った。約20年前、子育て世代真っ最中の世代も高齢化が進む。スーパーゼネコン鹿島のブランドを信頼して買ったが、「15階建てパノラマビュー」の夢の住まいは、欠陥の連続と施工業者らとの交渉で消耗する日々だった。やむなく裁判闘争に入り、希望が見えてきた。

 寺崎理事長は「鹿島建設は、危険なマンションを建設しておきながら、住民をクレーマー扱いし、住民の声を迷惑行為扱いして、無視し続けてきた。重要な梁を30本も施工せず、利益最優先の手抜き工事だ。耐震強度が良くても35%、施工の問題を加味すると8%しかないと知って、住民は不安で夜も安心して眠れない」と憤りを語る。「命と財産をどう思っているのか。鹿島の手抜き工事、不誠実な態度を絶対に許さない。鹿島は逃げずに欠陥マンションを建てた責任を果たしてほしい」と求める。

 耐震偽装の姉歯事件では、耐震強度が50%以下のマンションなどに解体命令が出されるなど、取り壊しや建て替えが相次いだ。耐震強度35%は、それを大きく下回る。マンションは、西鉄花畑駅から徒歩5分、交通量の多い交差点近くに建つ。住民側は、「マンションが地震などで倒壊したら、近隣まで巻き込み、一帯がパニック状態に陥り、住民の生命と財産に甚大な被害をもたらすことは想像に難くない。道路もふさいでしまう」と訴えている。

【山本 弘之】

 

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