財務省前で150人が抗議、「国税庁の分離」や「消費税廃止」など『果たし状』掲げ
高橋清隆氏
「全国結集! 財務省解体デモ」が10月25日、東京・霞が関の財務省前で開かれ、延べ150人が「国の借金」などを口実に緊縮財政政策を続ける財務省の在り方に抗議の意志を示した。「国税庁の分離」や「消費税廃止」などを求める『果たし状』を読み上げるとともに、ゲストとして4人が登壇。言論家の真田信秋氏は「財務省は通貨発行権があるから破綻しないと海外投資家には言っている。であれば、消費税を即刻廃止して貧困家庭を救いましょう」などと訴えた。
【動画】https://youtu.be/4d9b4tp-6hY
主催したのは、「財務省解体デモ/財政の民主化運動全国有志の会」(代表・柴田泰孝)。今集会は全国の財務局前で行われていたデモを結集させるかたちで、福岡の会場と2カ所を結んで開かれた。冷たい雨が降るなか、午後1時から4時すぎまでトークリレーや『果たし状』の朗読、コールの唱和が続いた。
主催者によるスピーチの後、『果たし状』が読み上げられた。
『果たし状』は「財政主権は国民にある事をここに宣言する」と題され、日本に財政破綻は考えられないことや、政府債務は借金でなく、国民の財産であること、税は財源でなく経済の調整機能であることなどを述べたうえで、「国税庁の分離」や「財務省主導の予算編成の廃止」など行政改革と、「消費税廃止」や「インボイス廃止」などの個別政策を要求している。
ゲスト登壇者として、4人がマイクを取った。
国際軍事資本が促す高市氏の積極財政に注意[高橋]
筆者は、「ニュース研究番外編:高市早苗報道の変化」の主題で演説した。初めに、マスコミ報道では政治家であれ、学者であれ、正邪が倒錯して宣伝されると、くぎを刺す。4月29日の財務省前デモで話した「ニュース研究番外編:財務省前報道の目的」をおさらいした。
玉木氏が2024年10月の衆院選で「消費税一律5%への引き下げ、インボイス廃止」を掲げ、議席を4倍に増やした直後、女性スキャンダルが報じられ、これを取り下げた経緯を説明。代わりに出してきたのが「103万円の壁」引き上げとガソリン税の一部軽減という「しょぼい経済政策」で、これに加勢するかたちで財務省前デモがマスメディアに取り上げられたことを指摘した。
「103万円の壁引き上げの減税効果は0.7兆円にすぎません。ほぼゼロ。24年度末で所得税の定額減税が廃止され、2.3兆円増税されました。つまり、プラスマイナス1.6兆円の増税。財務省は胸をなで下ろしたことでしょう」
自民党総裁選の期間中、積極財政派の高市氏はマスメディアへの露出が少ない一方、立憲民主党の野田佳彦代表や「石破辞めるなデモ」が盛んに映されていたことに言及。「消費税をとりあえず15%に上げたい財務省が背後にいる」と分析した。
高市氏は首相就任後、好意的に報じられるようになり、BS番組で「死んでしまえ」と発言した田原総一朗氏は番組もろとも降板させられた例を挙げ、「高市氏はもっと上の勢力に守られている」と推論。「国際軍事資本が、日本の防衛費をGDP(国内総生産)比3.5%に増やさせようとしている。これについてだけは、積極財政を認めようとしている」と警告した。
日本の貧困率上昇の陰に、自分の意見ない霞が関官僚[藪内氏]
敬愛大学名誉教授で世界経済評論執筆者の藪内正樹氏は、日本経済の衰退と霞が関エリートの資質について論じた。自身がジェトロ出身であることを明かしたうえで、10年12月に日中シンポジウムに参加した際、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』がベストセラーになったエズラ・ヴォーゲル教授と交わした会話を紹介した。
「ハーバード大学では最近、日本人留学生が減っているそうですね」と話しかけると、「そうなんだ」と立て板の水のごとく話し始めた。「減ってもいるが、落第する学生が多く、とくに官庁から派遣された留学生に顕著」とのことで、①旧大蔵省②旧通産省の順だと説明。理由を聞くと、授業中黙っていて、「君の意見は?」と聞くと、「難しい問題だ……」と言葉を濁し、決して自分の意見を言わない。「これでは点を上げられない」として落第になるという。
藪内氏は「これが霞が関にエリートの典型。正解と分かっていることにしか頭が回らず、与えられた答えを見つけることしかできない。早く目覚めて、与えられた正解でないことに頭を使うよう生まれ変わってほしい」と注文を付けた。
「我が国の国民負担率はこの30年で36.3%から46.8%に上がる一方、平均給与は468万円から460万円へ微減している。つまり、可処分所得が減っている」と強調。
日本の国民は勤勉で、治安もいいのに貧困率が上昇している事態は、カナダの学会でも研究対象にされていることを紹介。「これは政策的な失敗以外の何物でもない。彼らはかつて優秀だったが、脳みそが石灰化している。財務省の皆さん、よく心に手を当てて反省していただきたい」と求めた。
(2025.10.25、財務省前で筆者撮影)
コロナワクチン宣伝に170億、売国かいらい政府から独立を[真田氏]
『日本独立宣言論』の著者の真田氏は、「私はこの国の主権者の1人、真田信秋です」と切り出し、売国かいらい政府からの独立を訴えた。
「政治家が自分のことしか考えていない状態のなかで、我々が自分たちの意思で独立を宣言する必要がある」と前置きし、「我々は政治家や行政官僚に対して国や我々の命を売る権利を譲渡していないのに、我々に対し、複合的な売国攻撃を掛けてきている」と政府を糾弾。
「売国かいらい政府はショックドクトリンを常に国民に対して仕掛けている」と指摘し、消費税による経済制裁や、コロナ茶番、米騒動のねつ造を挙げた。
「毎年17兆円税収が増えているのに、なぜ国民に還元しないのか? 税収は5年連続過去最高。消費懲罰税によって、富裕層減税と法人税減税に使われた。しかし、福祉には1円も使われてない」と財務省を糾弾。
さらに内閣府について、コロナワクチンの広報に使った費用を公開請求し、284件すべての開示に成功したことを報告。「170億円がプロパガンダに使われ、1億人に対し4.4回接種させた。各テレビ局と新聞73社の他、Google、YouTube、Facebook、LINE、ヤフー、グノシー、SmartNews、NewsPicks、すべてのメディアに内閣府からこのお金が流れている。『新旧メディアは異なる』というが、ネットメディアも全滅。この事実を知る必要がある」と強調した。
そのうえで、「財務省は通貨発行権があるから破綻しないと海外投資家には言っている。であれば、消費税を即刻廃止して貧困家庭を救いましょう」と主張した。
米国・イスラエルに物言えない政治家を引きずり降ろせ[甲斐氏]
長距離トラック運転手で1人市民活動団体「#みちばた」の甲斐正康氏が急きょ、ゲストとして飛び入り参加した。開口一番、「憲法を守らせること。これが私たち国民に与えられた不断の努力」と始めた。
宮城県の水道民営化に仲間とともに反対してきた甲斐氏は、民営化の表向きの理由について「自治体はお金を刷ることができない。水道管は戦後復旧とともに発展してきたため老朽化している。だから民間に任せようと。しかし、この水道民営化は憲法違反」と指摘。憲法25条第2項「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と引用した。
「財務省が金を出して地方自治体に補助金を上げれば済む話」と一蹴すると、「そうだ」と歓声が飛ぶ。「この腐りきった国会議員、この腐りきった官僚たちに物を言わせる。それが私たち国民の不断の努力です」と重ねた。
甲斐氏は仲間とともに、24年2月から東京・港区のニュー山王ホテル前で日米合同委員会廃止要求デモを開いてきた。在日米軍副司令官に要求文も渡したことを振り返り、「この国は残念ながら、主権がない。植民地。財務の面でも」と嘆く。
「日米合同委員会、日米地位協定、日米安全保障条約、サンフランシスコ講和条約が複雑に絡み合ったこの支配構造を、私たちの代で終わらせようではありませんか」と独立心を喚起。「政治とは弱者のために寄り添うもの」と断じ、強大国によるガザ住民の虐殺に言及。「米国やイスラエルに物を言えない政治家、自民党、参政党、日本維新の会、立憲民主党も。彼らを私たちの手で引きずり降ろしましょう」と訴えた。
各参加者によるスピーチの後、コールが唱和された。
「財務省解体!」「消費税廃止!」「インボイス廃止!」「積極財政!」「年金充実!」「インフラ整備!」「デマを流すな!」
所々明かりのともった財務省の建物に、鋭利な声がこだました。
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