最古の商いを最先端ビジネスに変える 従来の米の流通スタイルを打ち破り急成長|酒見食品工業

<COMPANY INFORMATION>
酒見食品工業(株)

代 表:酒見紀宏
所在地:福岡県久留米市田主丸町以真恵264-3
設 立:1962年10月
資本金:1,000万円
TEL:0943-72-4578
URL:https://www.sakemishokuhin.com


 日本人の食生活にとってなくてはならないのが米だ。その米の取り扱いを主な事業とする酒見食品工業(株)は、米卸売として120年の歴史をもつ企業だが、これまでの常識に捉われることなく次々と新しい取り組みにチャレンジしている。2025年8月には新しい本社屋を構えるなど、その勢いはさらに加速中だ。

【目次】

本社社屋
本社社屋

創業から120年
老舗企業の新たな一歩

 酒見食品工業(株)の創業は1905(明治38)年、日露戦争が終結し日本中がその勝利に湧いたころだ。でも、歴史があるからと同社を単なる老舗の米卸売業の枠で捉えると少しばかり見誤ることになるだろう。

 一口に米と言っても多種多様だ。うるち米だけでも実に921銘柄もあるし、さらには産地や生産者による特色があり味も香りも異なる。それぞれがもつ魅力を最大限に引き出し、迅速に人々の元に届けるのが酒見食品工業の目指すところだが、同社のいちばんの特色は、生産者から原料米を直接買い取り一般消費者はもちろん、米を原材料とした製品を手がける各種メーカーに供給していることだろう。

 現在は久留米市大橋町、福岡県築上郡に2つの工場を有し、精米能力は日産7万kg、年間なら約2万tにおよぶという。スーパー、外食産業、そしてふるさと納税を実施する各地の自治体などに約60%、米菓子、酒造、味噌といった分野に約40%という比率で米を卸している。

時代にふさわしい
ビジネスに進化する

 38歳の若きトップ酒見紀宏氏が掲げる酒見食品工業の企業理念の1つに「最古の商いを最先端のビジネスにする」という言葉がある。

 「米は古来より日本人の主食でした。おそらくは原始的な経済活動らしきものが始まった当初から、米は取引の対象になっていたでしょう。その米の流通を現代にふさわしいまったく新しいビジネスに進化させたい。これが私たちの目標です」。太古の昔より人々が生きていくために欠かせない存在だった米。酒見氏が米卸売業「最古の商い」と語る理由だ。

酒見紀宏代表
酒見紀宏代表

 2024年に始まった米不足による価格高騰でも改めて認識されたが、日本人の米に対するこだわりは大変強い。それ故か業界は古い慣習に捉われているところもあるし、新しい感性を受け入れることに決して柔軟とはいえないことも否めない。

 たとえば米袋。誰もが思い浮かべることができるだろうあの四角いビニールの袋だ。

 「精米した米をどんな袋に詰めるか。袋メーカーのカタログからそれを選ぶのですが、掲載の中身は私が子どものころに見ていたものと驚くほど変化していません。お米といえばこんなもの。きっとそんな先入観があるのでしょう。そこで私たちは袋のデザインに新しい感覚を注ぎ込むことで消費者マインドをくすぐるものをつくっています」。

 パッケージの斬新さで販売拡大を狙うのは、ほかの業界では普通に行われていることだろうが、米穀卸業界では意表を突く着眼点だ。生産地や生産者の違いがひと目でわかるデザイン、最終的な買い手を意識した人気アニメ風のデザインがひときわ目を引く。ちょっとした工夫が実際の購買場面でどれだけ功を奏しているか。想像に難くない。

やり方次第で可能性が
無限に広がる世界

工場内の様子
工場内の様子

    このように従来の米の流通スタイルを打ち破ったさまざまなやり方を取り入れていくことで売上高も右肩上がりで伸びを見せる酒見食品工業だが、その勢いは26年4月に予定されている熊本新工場の開設からもうかがえる。最先端の無人化工場の完成はその大きな原動力となり、供給能力は一段とアップする。

 企業として大きな節目となる100億円の売上高も目前にしている今、全国に向けた商圏拡大のアプローチにも積極的に取り組む。これにより九州産米の価値が高まることが期待されるが、それは同時に酒見食品工業の名を知らしめることでもある。

 スーパーマーケットで米を購入するときのことをイメージしてほしい。「コシヒカリ」や「ななつぼし」といった銘柄で選択する場合がほとんどだろう。しかし、いずれは銘柄ではなく酒見食品工業のブランドで売れる商品にしたいと酒見氏はいう。米という商品の価値観をその他のブランド商品と同じ土俵に上げ、人々の価値観を転換してしまおうという発想だ。

 「若い人たちに期待するのはこれまでになかった米穀販売の新しい世界を創造してもらうことです。そして最古の商いを最先端の感覚をもって取り組んでもらう。この業界は歴史はあるけれど決して凝り固まってはいません。やり方次第でいくらでも広げていける世界です」。

 酒見氏自身、先代社長から事業を引き継いだのが2017年というからまだ10年も経っていない。しかし、業界の慣習にとらわれることなく自分が信じたやり方でどんどん道を切り拓いてきたという自負がある。現在の社員数はわずか26名、彼らの平均年齢も35歳というから若い。新しい人材にとっては大きく広がる未来が感じられる職場だろう。

 ネットメディアを活用した販促活動にも今後さらに力を入れていきたいと語る酒見氏。すでに年間取引量で九州穀物卸(協)におけるNo.1に輝いた同社だが、勢いは止まらない。創業150年を迎えるころには、酒見の名前が米の代名詞になっているかもしれない。


<求人情報>
酒見食品工業(株)

酒見食品工業(株) 求人情報業 種 :食品製造業
職 種 :製造・生産職・食品の製造や加工・パッケージ
勤務地 :福岡県久留米市田主丸町以真恵264-3
採用担当:酒見明日香
TEL :0943-72-4578
採用ページ:https://www.sakemishokuhin.com/view/page/recruit

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