【2026(令和8)年 福岡県知事年頭所感】未来への礎を築く 人と産業が躍動する福岡県へ

福岡県知事 服部誠太郎 氏

新年あけましておめでとうございます。

 皆さま方には、お健やかに輝かしき新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。

 昨年は、福岡に世界的なスタートアップ支援機関であるCIC(ケンブリッジイノベーションセンター)のアジア2カ所目の拠点「CIC Fukuoka」やインド総領事館が開設され、福岡が世界との結びつきを強め、チャレンジしていくための懸け橋となっています。

 また、BMX、クライミング、ブレイキンといったスポーツの国際大会を開催し、新たなスポーツの力が県民の皆さまにたくさんの元気と感動を与えてくれました。さらに、新たな武道館が竣工し、今年から武道をはじめとするスポーツ振興の新たな拠点としてスタートします。

新たな福岡武道館
新たな福岡武道館

 昨年は県知事としての2期目をスタートした年でもあります。1期目に引き続き、県民の皆さまの命、健康、生活を守ることを最優先に、1つひとつの施策を着実に、時には果敢に実行してまいりました。

 令和8年4月からは10年ぶりに県庁の組織を再編し、県民の皆さまの声やニーズを政策として具体化する司令塔の「政策企画部」や、市町村を支援して県内各地域を活性化する「市町村・地域振興部」、福岡県の飛躍・発展の礎である「人」を育て、その活躍を推進する「人材育成・活躍推進部」などを新たに設置します。これにより、職員1人ひとり、さらには組織としての力を最大化して、物価高などに対応する国の経済対策を最大限に活用して県民生活や事業活動をしっかり支えながら、先送りできない課題に真正面から取り組んでまいります。

 そして、福岡県を九州、日本の発展を支えリードしていく「雄県」にするという志をもち、未来への「礎」となる施策を展開してまいります。

すべての人の活躍を支え、
人とまちを元気に

 福岡県の未来を切り拓き、担っていくのは「人」です。私たちは、人を育て、人を惹きつけるまちをつくってまいります。

 まず、子育て支援の強化として、第3子以降の保育料無償化に取り組む市町村への支援をはじめ、出会い、結婚、出産、育児といったそれぞれのライフステージに合わせた切れ目のないサポートを推進します。 また、未来を拓くこどもたちの教育環境を整備するため、県立高校の体育館などへのエアコン設置を早急に進めてまいります。

 加えて、夢に向かってチャレンジするこどもたちや、国際的な視野をもち世界を目指す青少年を全力で応援します。さらに、起業や新たな職業分野へ挑戦する女性、就労を希望する障がいのある方の挑戦を支援するとともに、年齢や性別、障がいの有無、国籍を問わず、すべての人の活躍を支えてまいります。

 まちづくりにおいては、花やスポーツ、文化芸術がもつ力を最大限に活かし、人とまちを元気にし、「住み続けたい、住んでみたい」と思えるまちづくりを進めます。具体的には、一人一花運動として「花による美しいまちづくり」を推進し、美しく心豊かに暮らせる「花あふれる福岡県」の実現を目指します。また、国内外のアスリート強化を図る国内最高峰の「インターナショナルトレーニングセンター」構想の推進や、文化芸術の担い手を支援する「福岡県アーツカウンシル」の設立検討など、各分野で活躍する人材の新たな挑戦を支援してまいります。

スタートアップや中小企業、
先端産業の成長を強力に支援

福岡県中小企業DX推進センターの開所式
福岡県中小企業DX推進センターの開所式

 また、産業を育成し、県民の皆さまが活躍できる働く場を広げてまいります。

 県内の雇用の8割を占める中小企業については、持続的な賃上げと適正な価格転嫁による賃金と物価の好循環を図るため、関係団体と連携し取引適正化に取り組みます。 また、生産性や収益力向上を図るため、「福岡県中小企業DX推進センター」において中小企業のDX推進の取り組みを伴走支援します。

グローバルコネクト福岡オープニングイベントの様子
グローバルコネクト福岡オープニングイベントの様子
グローバルコネクト福岡で開催されたピッチイベント「F★Pitch」の様子
グローバルコネクト福岡で開催された
ピッチイベント「F★Pitch」の様子

    CIC Fukuoka内に設置した県として初のスタートアップ支援拠点「グローバルコネクト福岡」を中心に、世界から投資家や企業を呼び込み、スタートアップのさらなる創出・成長につながるグローバルなスタートアップエコシステムの形成を推進してまいります。

 技術の高度化が進む半導体分野では、設計・試作から評価・解析および実証までをワンストップで提供する「福岡超集積半導体ソリューションセンター」を中心に、半導体後工程の先進技術開発を強力に支援してまいります。さらに、先進モビリティ・次世代電池の生産拠点形成と、全国初のEVバッテリーのリユース・リサイクル「福岡モデル」構築を進めてまいります。 日産自動車の苅田町への生産移管を円滑に進めるため、県がリーダーシップを発揮し万全の体制を整えます。

半導体の設計・試作から評価・解析及び実証までをワンストップで提供する福岡超集積半導体ソリューションセンター
半導体の設計・試作から評価・解析及び実証までを
ワンストップで提供する福岡超集積半導体ソリューションセンター

 さらに、産業発展の礎となる産業人材の育成に取り組むとともに、いわゆる下関北九州道路をはじめとした産業振興の基盤となる交通インフラ整備や、企業誘致の受け皿となる産業用地の整備などを戦略的に進めてまいります。

 県の基幹産業である農林水産業を、若い方が夢をもって参入できる、稼げる強い産業にしてまいります。農業では、農地の集積・集約化やスマート農業機械の導入を進め、経営規模の拡大に取り組む企業型経営体への転換を後押しします。林業ではICT高性能林業機械などの活用を推進し、漁業では海況予測システムによる効率的な操業を推進し、農林水産業の生産性や収益力の向上を図ってまいります。

 福岡県の大きな魅力は「食」です。「あまおう」や八女茶などのブランド力をさらに強化し、海外への輸出を拡大します。そして、「食の王国・福岡」へ国内外からのさらなる誘客を図り、裾野の広い観光産業の振興に取り組んでまいります。

安全・安心な暮らしと
健全な環境を守る

 そして、県民の皆さまの安全・安心な暮らしと健全な環境を守ってまいります。

 本県では大雨による自然災害が毎年のように発生しており、地球温暖化にともなう気候変動の影響から命と暮らしを守る必要があります。流域治水をさらに推進し、自然環境を活用して被害を軽減するグリーンインフラなどの取り組みを拡大するとともに、地震の被害想定調査も踏まえ、今後起こり得る災害に備えてまいります。

 また、令和9年度中に供用開始を予定している「ワンヘルスセンター」の整備を着実に進めるとともに、身近なワンヘルスについて話し合う「ワンヘルス未来会議」から、県民の皆さまに自分ごととして取り組んでいただく提案をいただき、多くの県民の皆さまに「ワンヘルス」の取り組みを実践していただけるようにします。

 さらに、暮らしの礎である生活の安全を守るため、暴力団や匿名・流動型犯罪グループ壊滅に向けた対策を強化します。 合わせて、不登校やいじめなどで不安や悩みを抱える人が安全・安心に暮らせるよう支援してまいります。

福岡県知事 服部誠太郎 氏    今年は午年です。本年も、馬が疾走するがごとく、さまざまな施策をスピード感をもって実行し、未来へと駆け上がる飛躍の年となるよう全力を尽くしてまいります。

 そして、今後も愛するふるさと福岡県を、大人もこどももたくさんの笑顔で安心して暮らしていける県にしてまいります。

 新年が皆さまにとって、すばらしい一年となりますよう心からお祈りいたします。


<プロフィール>
服部誠太郎
(はっとり・せいたろう)
福岡県知事
1954年生まれ、福岡県北九州市出身、中央大学法学部卒業。77年、福岡県入庁、以後、総務部財政課長、総務部次長、福祉労働部長、福岡県副知事を経て2021年4月から現職。現在、2期目。

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