自民・高市首相の「義理の息子」の公認見送り~世襲批判を考慮か

 23日召集の通常国会冒頭での衆議院解散が迫った21日、自民党は衆院選(27日公示、2月8日投開票)の第1次公認候補を発表した。このなかで福井県連は1区現職の稲田朋美氏、2区は山本建氏の公認を党本部に上申していたが、稲田氏は公認されたものの、山本氏の公認は見送られた。

山本建氏
山本建氏

 山本建氏は、高市早苗首相の夫・山本拓元衆議院議員の長男で、高市首相は義理の母にあたる。福井県議会議員を2期務めており、福井県議会産業常任委員会委員長などを歴任した。

 山本氏は地元で開いた出馬表明会見で「全国的に世襲候補に対する風あたりがきついことは理解している」「なんとしても自民党の議席を取り戻さなければならない」と語り、母である高市首相(自民党総裁)には一切相談していないという。

 福井2区は前回選において、裏金問題を理由に前議員・高木毅氏が公認を得られず公認候補がいない状態にあった。県連は19日の執行部会で稲田、山本両氏を公認候補とすることを全会一致で決定していた。

 22日発売の『週刊文春』が【独占スクープ】として「高市早苗 夫・山本拓と息子・山本建の『禁断の世襲ビジネス』」と題した特集記事を掲載している。21日昼より電子版で先行配信しており、選挙直前の世襲批判を警戒して見送ったのではないかとの見方がある。

 また自民党総裁選前の9月・YouTubeの「高市早苗チャンネル」で高市氏は地元自民青年局との対談を行い、両親が共働きで弟の世話をした経験などから「地域のネットワークがすごく大事」と語っていたが、保守派議員の基盤は地域社会にあることは間違いない。

 現在の国会を見ると世襲議員は少なくない。高市氏は世襲に批判的とされる。だが日本において世襲批判がありながら親子間の議席継承がなくならないのは、「貴方のお父さん・おじいさんにお世話になった」という支持基盤の源泉でもあるからだ。候補者もその基盤にあぐらをかく。世襲議員にも苦労はあるとの声はあるが、ゼロから出発するたたき上げとは雲泥の差だ。

 福岡を見ても国会議員であれば麻生太郎氏や鳩山二郎氏は世襲であり、福岡市議をはじめ保守系地方議員は世襲だらけである。

 いずれにせよ、このタイミングで文春が報じた内容は、地域を地盤とする候補者にはマイナスとなりかねない。

 25日に投開票が行われる福井県知事選挙は保守分裂となっている。県議会の自民党会派が擁立した候補と、福井市議会の保守系会派が擁立した候補がそれぞれ出馬している。福井県連にとっても知事選の分裂に加え、山本氏の非公認となれば二重の痛手である。

 地方県連が公認申請した候補が1次公認から外れるのはあまり例がない。政治家に対する国民の視線が厳しいなか、解散を目前として世襲などの批判が高まることを自民党本部は恐れたのではないか。

【近藤将勝】

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