覚めない悪夢、またも大型クルーズ客船で火災~三菱重工業長崎造船所
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三菱重工業長崎造船所香焼工場(長崎市香焼町)で建造中の大型クルーズ客船で、きのう(1月11日)午後8時半ごろ、火災が発生。客船7階の劇場付近の約15m2が焼けた。けが人はなし。この船は、大型クルーズ客船事業の大手であるカーニバルグループ傘下のアイーダ・クルーズ社から受注した2隻のうちの1番艦。当初、昨年3月だった納入予定を2度延長し、昨年12月末としていたが、昨年末にそれも延長していた。
三菱重工は、この「アイーダ・クルーズ向け大型クルーズ客船2隻建造プロジェクト」に関する追加損失として特別損失を4回計上している。最初は、14年3月期末に641億2,600万円。次に、15年3月期第2四半期に398億4,100万円。同第4四半期に296億9,300万円。そして、2016年3月期第2四半期に309億5,300万円を計上し、累計額は1,646億1,300万円となった。さらなる納期遅れと今回の火災により、損失がさらに増加する可能性は高い。
気がかりなのは、今回の火災が、電気配線が火元という電気火災であることだ。『次世代省エネ客船』として設計された同船は、大量の配管や電装などで苦戦しており、納期に影響を与えていたという経緯がある。安全性を検証するために、同じく建造中の2番艦も合わせて電気系統の見直しが必要となれば、さらなる納期遅れ(=損失増加)は避けられないだろう。
なお、カーニバルグループの大型クルーズ客船「ダイヤモンドプリンセス」(04年2月就航)は、長崎造船所で建造中だった02年10月1日に火災を発生。同時に建造中であった同型艦「サファイアプリンセス」を改修し、「ダイヤモンドプリンセス」に変えて、7カ月遅れで納品したという過去がある。クルーズ客船建造は、三菱にとって『鬼門』なのかもしれない。
【山下 康太】
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