【インタビュー】有澤建設が社長交代で新体制 110年の歴史を次代へ

有澤建設(株)
代表取締役会長 木下英資 氏
代表取締役社長 藤木将志 氏

左:代表取締役会長 木下英資 氏
右:代表取締役社長 藤木将志 氏

 創業110周年を迎える2026年、有澤建設(株)は代表取締役社長だった木下英資氏が代表取締役会長に就任し、専務取締役だった藤木将志氏が新社長に昇格した。創業家以外からの社長就任は同社で初めてとなる。長年、経営の中核を担ってきた2人に、社長交代の背景や次世代の組織づくり、110年の歴史を未来へつなぐための経営について聞いた。

就任の打診に即答

 ──藤木社長のこれまでの経歴と、有澤建設(株)への入社の経緯を教えてください。

 藤木将志氏(以下、藤木) 入社したのは2006年で、今年で20年になります。前職は地場マンションデベロッパーの営業職でした。当時、有澤建設と共同で進めていたマンション開発プロジェクトがあり、以前から社名や評判は知っていました。とくに印象に残っていたのが施工管理の行き届いた現場です。とにかく現場がきれいで、「しっかりした会社だな」と感じたことを覚えています。

 ──入社後、役員を歴任し、今回の社長就任に至ったわけですね。

 藤木 取締役に就任したのが創業100周年の年で、その後、常務、専務を務めました。社長就任の話が具体的に出たのは約2年前の8月末です。木下会長と2人で酒を酌み交わしていたとき、「2年後に社長を任せるから、そのつもりで準備しておいてくれ」と言われました。その場で迷うことなく「やります」と答えました。会社の歴史や状況を考えれば、誰かが次の時代を引っ張らなければなりません。それなら、現場から経営まで見てきた自分が腹を括ってやるべきだと考えました。

 木下英資氏(以下、木下) 藤木は営業の第一線で会社を引っ張ってきた実績があり、社内や現場のこともよく分かっています。これまでの経験を踏まえ、次の有澤建設を託せると判断しました。

次世代の人材育成

 ──新体制での組織づくりをどのように考えていますか。

 藤木 まずは会社を存続させていくことが大前提です。そのためにも、次の時代を担う幹部やリーダーを育てる必要があります。私は「自分で動いたほうが早い」と考えてしまうところがありますが、これからは社長として一歩引き、若手に任せていく姿勢が必要です。権限を委譲し、失敗を恐れずチャレンジできる環境をつくることで、社員1人ひとりが自ら考え、判断できる組織を目指します。

 木下 これまでは営業トップの藤木が前面に立ち、私を含め会社全体でバックアップするかたちが機能していました。しかし、藤木が社長となった今は、社長1人に負担を集中させず、チームで経営を支える体制に変えていく必要があります。

 そのため、10年以上にわたり当社の財務を見てもらっていた人材を26年4月に財務部長として迎えるなど、組織強化を進めています。また、私自身は会長として有澤建設に関与するとともに、当社を含むグループ4社の連携強化や役割の明確化にも取り組みます。

 創業家以外に社長を任せるのは今回が初めてです。そのなかで、組織ルールの整備不足なども見えてきました。今後10年をかけてこうした課題を解消し、次世代へ引き継げる組織をつくっていきたいと考えています。

経営の実権を新社長へ

 ──社長交代にあたり、意識的に変えたことはありますか。

 木下 経営の実権を新社長へ移すため、稟議や決裁フローを改めました。私も代表権を持つ会長ではありますが、基本的に新社長の決裁ですべての業務が完結する仕組みにしています。トップが変わったことを制度面から社員に意識してもらうことが、権限委譲には重要です。

 藤木 会長のフォローもあり、日常の決裁や実務的な相談はスムーズに移行できています。社長として決裁書類に判を押すたび、責任の重さを感じますが、迷ってはいけない。迅速に決断し、社員を前に進ませることが社長の役割だと思っています。

 ──最後に、これからの有澤建設への意気込みをお願いします。

 藤木 110年の歴史で築いてきた信頼と実績、高い施工品質という伝統は、これからもしっかり守ります。一方で、変化の激しい時代ですから、過去を守るだけでは成長できません。社員1人ひとりが生き生きと働き、仕事に誇りをもち、次の世代へつないでいける会社にしたい。110年の歴史という大きな財産を受け継ぎ、そのバトンをさらに次の世代へつないでいく。社員とともに、新しい有澤建設をつくっていきたいと考えています。

【永上隼人】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:木下英資、藤木将志
所在地:福岡市博多区博多駅南4-4-12
設 立:1967年9月
資本金:9,000万円
売上高:(25/8)69億1,732万円


<PROFILE>
木下英資(きのした・えいすけ)
1971年7月、福岡県生まれ。95年に早稲田大学を卒業後、西日本旅客鉄道(株)(JR西日本)に入社。2000年10月に有澤建設(株)に取締役社長室長として入社。05年に常務取締役などを経て、10年10月に代表取締役社長、26年9月に代表取締役会長に就任した。趣味はお城めぐり、プロレス鑑賞。
藤木将志(ふじき・まさし)
1975年11月、長崎県生まれ。マンションデベロッパーを経て2006年に有澤建設に入社。2016年10月に取締役、24年10月に常務取締役、25年10月に専務取締役に就任し、26年9月に代表取締役社長に就任した。趣味は御朱印集め。

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