前半で2人退場。9人で猛攻耐えるも…
9月19日、明治安田J1リーグ第8節がベスト電器スタジアムで行われ、アビスパ福岡はサンフレッチェ広島と対戦。前半に2人の退場者を出す厳しい展開のなか、9人で広島の猛攻に耐え続けたが、後半23分に先制点を許し、0―1で敗れた。これで福岡は6試合勝利なしとなった。
怪我と思われる離脱者が相次ぎ、5戦勝ちなしと苦しい状況が続く福岡。この日は、何としても流れを変えようと、立ち上がりから前へ出る姿勢を見せ、積極的にボールを奪いにいく。球際も激しく、戦い、勝利をつかみ取ろうとする「強い気持ち」を前面に押し出して試合に入ったが、その強い気持ちが思わぬかたちで裏目に出る。
前半21分、DF上島拓巳が広島のMF松本泰志へのファウルで一発退場。序盤から早くも10人での戦いを余儀なくされた。それでも前へ出る姿勢は崩さず、数的不利のなかでも積極的に広島へ仕掛けていった。
ところが、前半終了間際のAT(アディショナルタイム)に、すでに警告を受けていたMF見木友哉が2枚目のイエローカードを受けて退場。福岡は後半45分間を9人で戦うという、極めて厳しい状況に追い込まれた。
後半は広島が数的優位をいかして圧倒的にボールを保持し、福岡陣内へと押し込む展開が続く。福岡は攻撃に人数をかけることができず、耐える時間が圧倒的に長くなった。それでもGK小畑裕馬を中心とする全員守備で広島の波状攻撃を何度もはね返す。
しかし後半23分、広島のMF東俊希の技ありのミドルシュートが決まり、ついに均衡が破られる。その後も試合の主導権は広島が握り続け、次々とゴールへ迫られるなか、福岡は小畑の好守や身体を張ったディフェンスで追加点は許さない。
最後まであきらめず戦う姿勢は見せたものの、試合はそのまま0―1で終了。シュート数は福岡の2本に対し、広島は33本。ボール支配率も福岡の25%に対し、広島は75%と、この日の苦しい戦況が数字にも表れていた。
福岡に問われる「熱さ」と「冷静さ」
この日は試合を通じて計6回、VAR(ビデオアシスタントレフェリー)が介入。判定をめぐってたびたび試合が中断する異例の展開となった。前半での上島と見木の退場も重なり、選手たちはプレーの強度を保ちながら、気持ちを切らさず、感情をコントロールすることも求められた。
勝利への強い思いを前面に出して臨んだ一戦であったが、その積極性が2人の退場というかたちで裏目に出たことは、チームとして重く受け止めなければならない。まだリーグ戦は8節とはいえ、福岡は降格圏に足を踏み入れる苦しい状況にある。
だからこそ、必要なのは気持ちの強さだけではない。球際の戦いや前へ出る「熱さ」を前面に出しながら、状況を見極める「冷静さ」を失わないこと。その2つを両立させて、どのように勝利につなげていくのか。今の福岡が克服すべき課題である
生観戦ならではの醍醐味を感じた光景
0―1で敗れた広島戦。試合終了の笛が鳴ったベスト電器スタジアムには、敗戦後とは思えないほど大きな声援が響いていた。
前半に2人が退場し、後半は9人で戦う厳しい状況。それでも選手たちは最後まで足を止めず、GK小畑を中心に全員で身体を張って広島の猛攻に立ち向かった。苦しい時間が続くほどスタンドの声は大きくなり、自陣ゴール前からボールをかき出すたび、まるでシュートを放ったかのような歓声が沸き起こる。選手とサポーターが、ともにピッチで戦っているかのような光景だった。
もちろん、選手もファン・サポーターも欲しかったのは勝利だ。これでリーグ戦は6試合勝ちなし。苦しい状況に変わりはない。それでも、大量失点を喫してもおかしくない展開で失点を1に抑え、最後まで勝点の可能性を手放さなかった選手たちと、その奮闘を声で支え続けたスタンド。ピッチとスタンドが同じ思いで戦うことで生まれた空気は、改めて生観戦ならではの醍醐味を感じさせるものだった。
試合は敗れたものの、この日のスタジアムには勝敗だけでは語れない特別なものが残った。この一戦が、チームとファン・サポーターをもう一度強く結びつける、そんな予感を抱かせる一戦でもあった。
そして広島戦後、次のリーグ戦まで約3週間の間が空く。その間には9月29日のルヴァン杯(FC大阪戦)、10月7日の天皇杯(横浜FC戦)が行われるものの、リーグ戦の中断期間は負傷離脱している選手たちの復帰を待ちながら、チームを整え直す貴重な時間となりそうだ。
この3週間を立て直しの時間とし、ここまでの苦しい流れを断ち切りたい。そして、広島戦で見せた粘りとスタンドとの一体感を力に変え、リーグ戦再開からの巻き返しにつなげたい。
【川添道子】









