【BIS論壇】躍進するBRICS

 NetIB-Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会理事長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。
 今回は9月22日の記事を紹介する。

イメージ    先に中央アジア・キルギスのビシュケクで開催の中国、ロシアが主導するSCO(上海協力機構)首脳会議に続き、有力新興国BRICSの首脳会議が9月12~13日にインドの首都ニューデリーで開催された。

 トランプ政権のアメリカ・ファースト主導の高関税政策もあり、新興国、グローバルサウスは独自の経済貿易協力策を模索している。昨年のブラジルでの会議を欠席した中国・習近平国家主席やロシアのプーチン大統領、米国と戦争中のイラン大統領も出席。発展途上国への影響力を強めるBRICSの動向を十二分に注視することが肝心だ。

 BRICSはグローバルサウスの有力国、ブラジル、ロシア、インド、中国を母体に発足。10年12月に南アフリカ、24年1月にイラン、エジプト、エチオピア、アラブ首長国連邦(UAE)のアフリカ、中東諸国が加盟、25年1月にはムスリム国最大の人口を誇りASEAN(東南アジア諸国連合)の有力国インドネシアが加盟。10カ国となり、G7に対抗するグループとして注目されている。

 BRICSは世界人口の50%弱、購買力平価(PPP)ベースで世界GDPの約40%、世界貿易総額の約26%を占める有力な協力機構として発展しつつある。近年、世界的に経済力が急速に衰退している日本としては経済が発展しつつある中国、インド、ブラジルが参加しているBRICSとの協力強化に尽力すべきであろう。

 ASEANの議長国フィリピンも今回拡大会合の招待国として参加。BRICSは経済発展中の東南アジアとの協力にも注力している。

 13日発表の共同宣言ではイラン攻撃などが続く中東情勢に関して「最大限の自制」と「対話と外交を通じた努力」を求めた。一方ガザ地区の人道状況についても深刻な懸念を表明するとし、「イスラエルとパレスチナの紛争の最終的な解決は平和的な手段でのみ達成できパレスチナ人の正当な権利をいかに実現するかにかかっている」と指摘。

 一方、議長国モディ首相は12日の首脳会談でAI(人工知能)などの先端技術を念頭に「グローバルサウス(新興国)」が規則に従う側から、ルールをつくる側になるように努めなければならない」と発言。国連安保理や金融、経済を担う国際機関でも発言力を高める必要があると訴えた。来年の議長国を務める中国の習近平国家主席は13日の会議で「BRICSはグローバルサウスと団結し国際社会での役割を強化しなければならない。BRICS諸国でAIや貿易・投資・人材育成などでの協力を深化させること」を訴えた。

 今後とも躍進するBRICSの動向には日本としても十二分の注目が肝要だ。


<プロフィール>
中川十郎(なかがわ・ じゅうろう)

 鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)。

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