アイヌ問題の基礎知識と解決策~国連による国家分断 先住民族の認識を改めよ

国際歴史論戦研究所
上席研究員 澤田健一

1. はじめに 定義なき「先住民族」の誤解

 これまで多くの学者がアイヌは12、13世紀頃にシベリア方面から進入してきた北方民族であり、縄文人とは関係がない、日本民族とは別民族だと捉えてきた。

 『ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会』が、1996(平成8)年4月1日に提出した報告書を受けて、衆議院および参議院は、2008(平成20)年6月6日の本会議において、『アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議』を全会一致で採択した。この有識者懇談会はアイヌを北方から進入してきた異民族とすることを前提としている。

 その前年、国連総会第61期で採択された『先住民族の権利に関する国際連合宣言』(07年9月13日)では、「先住民族」の定義付けはしていないものの、一般的な解釈では、ネイティブアメリカンやアボリジニのような有色民族が、異民族である白色人種によって植民地支配を受けた人々を指すことが多い。

 さて、以前から北海道では、北海道開拓を内国植民地政策だと批判する声はあったが、支持はされていなかった。ところが、「アイヌは日本民族ではない」との誤解が広まったことから、現在では「開拓=侵略」との誤った認識が広まっている。この解決策は2-①で述べる。

 また、国際人権NGO アムネスティ日本 AMNESTYは、【定義づけよりも「自己認識(自らが先住民族であると認めること)」を最も重視しています】と解説しており、これが大問題。なぜならアイヌは、自ら先住民族であると主張している。これについては解決策2-②で述べる。

2. 解決策 アイヌに対する誤った認識を正す

① アイヌは縄文人の正統な子孫であり、有史以前から北海道に住み続ける日本民族

 令和に入ると人間の完全なる設計図ともいえる核DNAの約32億の塩基配列をすべて読み解けるようになった。この遺伝子分野の学術研究によって、これまでの誤った学説が科学的に次々と否定されることになった。

 研究報告によると、アイヌは1万年以上前の縄文人の遺伝子を約7割も受け継いでいる1とされ、アイヌは日本列島の最古の住人であり、遺伝子系統樹でアイヌと縄文人は同じクラスター(枝)にいる2という。

 また、25年に開催された国立科学博物館の古代DNA展では、「DNAが語るアイヌへの道すじ」というパネルが展示され、アイヌは日本列島の周辺で孤立して成立した集団という見方をされてきたが、それは誤りであることも明らかとなったと書き、アイヌは最も縄文人に近い集団だと書いている。

 従って、アイヌは縄文人の子孫であり、日本民族の正統な一員であり、しかも日本列島最古の住人なのである。前提となった有識者懇談会の結論が間違っていた以上、異民族と同義化される先住民族決議は取り消すべきである。

② アイヌは先住民族であるという思いから、日本を守るという思いへ流れを変える

 まず、アイヌを先住民族だと主張している人には、二系統いることを理解することが大事。

Ⓐ「アイヌは北方民族である」=「アイヌはロシア系先住民族である」という主張

 アイヌ団体からロシアのプーチン大統領あての要望書が出され、ロシアにアイヌ保護を求め、しかも北海道の一部の管理まで依頼している3。この人々はアイヌを北方民族(つまりロシア系民族)だと考えているようである。

 これはロシア側の主張に呼応するものであり、ロシアからは同様の主張が繰り返されている。アイヌはロシア民族であり、そのロシア民族(アイヌ)が住む北海道の領有権はロシアにあると主張しているのだ4、5、6、7。

 それどころか、ロシアはウクライナ侵攻前に、実は北海道に武力介入することを計画していたことまでが報道されている8。

 ただし、これらはすべて誤った認識から出ており、解決策①で反論できる。

 ところが、「アイヌと縄文人は関係ない」と主張している保守人が多いのが弱点である。この主張はロシアの北海道領有権に正統性を与える発言となってしまう。ロシアの北海道侵略を誘引しかねない発言は慎むべきである。

Ⓑ「アイヌは日本民族であり先住民族である」=「中世の侵入者ではない」という主張

 これは正しい認識であり、ここの説得が必要。Ⓐの北方民族説とは異なる理由から先住民族を主張している。「アイヌは北方民族であって縄文人とは関係がない」と言っている人がいるからこそ、「自分たちはずっと以前から住んでいる」という主張となる。核DNAの解析結果が示す通り、アイヌは日本列島の最古の住人で間違いない。

 ただし、それを「先住民族」と表現すると政治的に利用されてしまう。結果的に日本民族とアイヌ民族の分断を招きかねないし、すでにその兆候は現れている(後述)。ただ、Ⓑの人々は、むしろ日本民族としての誇りをもっていて、日本を破壊しようと考えているわけではない。日本を破壊するような論調には乗らぬように説明することが肝要である。

3. 結論 先住民族問題で日本を分断するな

 定義があいまいかつ政治的に悪用される要素が大きい「先住民族」という表現は慎重に避けるべきである。実際に、「先住民族」が住んでいた北海道は日本固有の領土ではない、と文部科学省が教科書検定で指針を出している。江戸時代以前の北海道を日本領土としてはならないと指導しているのだ。これは、「先住民族」=「異民族」とする一般的な認識からくるものであり、文部科学省は一般的解釈をしたに過ぎない。こうして日本が分断されていくのである。しかし、アイヌは間違いなく日本民族なのであり、日本を分断するような工作活動には乗らないように、日本の一体化を守ることが重要である。そのためにも日本分断を助長する先住民族国会決議は取り消すべきである。併せて国連には国家分断を促す働きかけをしないように求める。

【澤田健一】


▼参考文献

  • Late Jomon male and female genome sequences from the Funadomari site in Hokkaido, Japan 『Anthropological Science』19年5月
  • 縄文人ゲノム解析から見えてきた東ユーラシアの人類史 東京大学・東京大学大学院・金沢大学 20年8月20日
  • ウラジミール・プーチン大統領あての要望書 モシリコルカムイの会 19年1月
  • アイヌ民族は「ロシアの先住民族」 北海道新聞 18年12月19日朝刊
  • 「北海道の権利はロシアに」露議員、戦乱に乗じて主張 「暴論」の根拠は? J‐CASTニュース 22年4月7日
  • 「北海道に権利有する」ロシア政界で対日けん制論 JIJI.COM 22年4月9日
  • プーチン大統領、新たな外交方針承認 海外の「同胞」支援を重視 ニューズウィーク日本版 22年9月6日
  • ロシアはウクライナでなく日本攻撃を準備していた…FSB内通者のメールを本誌が入手 ニューズウィーク日本版 22年11月25日

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