高島福岡市政の16年(4-3)住民自治パワーは強化されたのか?それとも
地域活動に微力ながら取り組む一市民から見る高島市政16年。高島氏が引き継いだ「自治協議会制度」は、この間、はたして福岡市の発展・活力に貢献したのだろうか?そして高島市長はどのように取り組みを行ったのか?
地域コミュニティから眺めた高島市政16年(3)
行政主導から住民主導の大義名分
2004年に町世話人が廃止され、また地域各団体に縦割りで交付していた補助金は自治協議会へ一本化され、その配分は各校区に任せるとした。
「従来の『行政が地域の住民を主導し、全市一律に施策を推進する』という在り方から『地域の住民が主体となり、行政と共働でまちづくりを行う』という在り方への大きな転換だった」(「地域との共働の手引」09年福岡市)というのが市の公式見解だ。
各区役所に「地域推進部」が設けられ、係長級の職員が1人あたり4校区程度を担当し、自治協議会の活動に対し指導やアドバイスを行うこととした。現在は各区総務部のなかに地域支援課として存在している。
その後も幾度か制度の見直しが行われ、26年現在では、各校区の人口に応じて毎年263万円(2,000人以下)から411万円(1万5,001人以上)までの補助金が交付されている。347万円(5,001人~1万人以下)、379万円(1万1人~1万5,000人)の校区が大半だろう。
この補助金(現在「自治協議会共創補助金」と呼ぶ)は、各団体が行う活動経費として、交通安全、防災、防犯、子どもの健全育成、環境、健康づくり、スポーツ、男女共同参画、その他に按分される。その比率は「各校区の実情に応じて」、もう少しあからさまにいえば各団体の地域における「力関係」による。当初は「高齢者福祉」として老人会などの事業も必須項目だったのだが、現在では「その他地域の活性化や課題解決につながる事業」に集約された。
なお「人権啓発推進」については、これとは別に年25万円の補助金が各校区の人権尊重推進協議会などに交付されている。
しかし、この「共創補助金」については、「いろいろ縛りがあって使いにくいバイ」という声が、地域活動にかかわる住民のあちこちから聞こえてくる。
たとえば、役員の手当、食糧費などは補助の対象外とされている。町世話人への報酬は労働の対価としての個人収入だからどう使おうが自由だったが、財源が税金であり公金である以上、自ずと制約が生まれるわけだ。
もっとも抜け道とまでは言わないが、例外規定はある。役員手当はダメだが活動費なら良い。事業実施のために必要な弁当代、茶菓代など必要最小限の範囲は認める(ただし酒代は絶対ダメ)など。
ベースは自主財源という第二の財布
この「共創補助金」だけでは、到底「円滑な地域活動」など回っていかない。お疲れ会で一杯酌み交わしたり、心ばかりだが手当を出したりは必要だ。そうした資金をどう捻出しているのかというと、ほとんどの地域が「自主財源」という別の財布をもっている。基本的には住民(一部加入企業)から町内会費などで徴収した収入の一部、バザーなどの活動収入、そして寄付などによって賄われる。ここについては、「行政は口出ししません(できません)」というスタンスだ。
もちろんこれらも「公金」であることに違いはないので、それなりのモラルは求められる。会費の使い道が不透明・不明朗などの指摘が絶えない現状はご承知の通りだが、ほとんどの地域団体が爪に灯をともす思いでやりくりしており、そうした役員さんたちからすれば、福岡県議のあの放蕩っぷりは頭にくるどころではなかろう。
話は少し飛躍するが、町内会長やPTA役員のなり手がいないという声が蔓延しているが、手当が月に10万円程度あれば「やりたい」という人は少なくないのではなかろうか?なんでもかんでも「タダ働き」させられ、苦労と責任ばかり押し付けられ「おいしいところ」が皆無なポジションにつく人がいないというのは自然の道理である。
限界集落ならぬ限界活動が多発
高島市長の16年間の「大いなる成果」を頭から否定するものではないが、天神ビッグバンをはじめとする華々しい都市プロジェクトの一方、地道で地方自治の足腰ともいえる地域活動は一部の例外を除いて全般的に退潮している。
とくに町内単位の老人会(ねんりんクラブ)、子ども会などが加速度的に消滅し、自治協議会が助成金によって直轄で事業を行うというケースが増えている。
従来は、単位町内会ごとに子ども会なり老人会があり、それが「校区連合会」をつくり、さらにそれが区の単位で「区連」をつくり、そのうえに「市連」がある。行政は直接的には「区連」および「市連」を通じて運営を支援するという流れであった。
しかし現状は「単位クラブ」および「校区連合会」消滅、「区連」は脱退などで櫛の歯が抜けた状態である。
事例報告会などでは、例外的な成果が発表されるので市民の目にとまりにくいが、福岡市老人クラブ連合会の広報紙「ふくふくクラブ福岡」118号(26年7月発行)では、トップの会長あいさつで「単位老人クラブ数は、平成29年度をピークに減少傾向にあり、近年、ますます減少傾向が顕著になっている」と危機感を露わにしている。同紙によれば、会費納入している単位老人クラブ数は全市で572組織。5年後いくつ残っているだろう。
子ども会では「役員の成り手不足から組織消滅」、老人会では「役員・会員の超高齢化の限界から組織消滅」という流れが加速している。そしてその影響は、各単位町内会の弱体化と相互作用をおよぼしている。
トップダウン市長および市役所は、この危機的状況にどのように対処してきたのか?次回検証していきたい。
「足腰が 弱る一方 老人会」
(つづく)
【坂本晴一郎】









