地域コミュニティ維持のために高島市政はどのような手を打ってきたのか?目覚ましい成果を誇るほどではないが、何とか壊滅を免れているように見えるのだが、はたしてそれは誰の力なのだろうか?
地域コミュニティから眺めた高島市政16年(4)
1万人規模の住民をまとめる自治協議会
コミュニティの弱体化は福岡市に限らず全国津々浦々共通の課題だろう。人口減少に悩む過疎地域にも、新住民の流入によって人口が増えている都市部でも、「昔に比べて地域の人間関係が希薄になった」という思いがある。
2009年に福岡市が、主に職員を対象として作成した「地域との共働の手引」では自治協議会の構成イメージとして次のようなモデルが示されている。まず隣組(班)10~20戸程度があり、それが10~20集まって自治会・町内会(1~400戸、約500人)となる。そして10~20程度の自治会・町内会で1つの自治協議会(小学校区)を形成し、規模は4~5,000戸、約1万人。組織として各種課題に取り組む団体が加わるが、これもそのエリアの住民によって構成されるのでメンバーはオーバーラップする。(図A)
出所:福岡市資料「地域との共同の手引」
福岡市の人口が160万人超で小学校区が約150であるから、校区すなわち地域コミュニティの人口は1万人程度というわけだ。そう考えると、地域の自治組織といっても小さな市町村程度の人口規模となる。大半が素人のボランティアが執行部となり、ほぼ無給で運営を委ねられているわけだ。
問題点を検証し新しい方向性を探る
校区の実情はそれぞれで、道路一本隔てればマンションが乱立し、爆発的に人口が増えているエリアもあれば、反対に昔からの住民が高齢化し、子育て世代が少ないエリアもある。外国人が多かったり、商店街が寂れていたり、課題はそれぞれ千差万別だ。1つの校区のなかに新住民と旧来の住民が並立するケースも少なくない。
それぞれの地域課題を民主的に解決する役割を自治協議会は期待されているわけだが、なかなか簡単ではない。はたして現行の自治協議会という制度がそれに適しているのか?
高島市政のもとでは、まず15年に「地域のまち・絆づくり検討委員会」からの提言が出され、自治協議会が企業や商店街、NPO、大学などと「共創」の取り組みを強化していきましょうという方針が出された。
住民たちだけでは難しいところを、コンサルやアウトソーシングにもどんどん手伝ってもらいましょう!という方向性だ。
当時はまだまだ団塊の世代も地域活動にかかわっている方も多かったので、「NPOなんぞが役に立つのか?」という雰囲気も根強かった。
その5年後「共創のまちづくり推進検討委員会」が開催され、21年7月に「持続可能な地域コミュニティの実現に向けて」という報告が発表された。
担い手不足や参加者の固定化・高齢化という課題は相変わらずで「このままでは、将来、地域コミュニティを維持することが困難な地域が発生する可能性があります」と、かなりシビアな状況認識が深まった。
22年「共創による地域コミュニティ活性化条例」が施行され、町内会の意義の明文化や(任意団体という位置づけは変わりなし)、市の支援の責任などが明記された。高島市政下での最大の成果?であろう。
また行政からの依頼事項について整理・削減を行い、業務のスリム化、負担軽減を図るなどの対症療法が提言された。
その後、LINEのオープンチャット機能を使ったデジタル回覧板や、コロナ禍もありオンライン会議の導入方法などを、校区自治協議会を飛び越え、委託された業者が直接町内会などに指導・教育する動きが目立ち始める。先の民間事業者やNPOとの提携・協力事業の後押しや、町内会の活動、たとえばレクリエーションや清掃、防災などに直接行政(区)から追加の補助金を出すといった制度も喧伝されるようになった。
動きの鈍い執行部の頭越しに、行政が単位町内会へ直接手を突っ込んできたと受け取る向きもある。しかし「中抜き」は時代の趨勢でもあるので今後この傾向は強まっていくと筆者は感じている。
高島市長は、もちろん「コミュニティの自治が大切だ」とは考えているだろう。しかし抜本的な制度改変は手つかずだ。一朝一夕の方策はないと市長も自覚しているのだろう。
けれど現場は奮闘中
これまで地域コミュニティの状況についてかなり悲観的な話をしてきたが、それでも各校区の現場で住民は頑張っている。
福岡市が22年に行った自治協議会会長ならびに単位自治会・町内会長あてのアンケート結果では、自治会・町内会への加入率は全市で約8割(81.1%)。前回(18年度実施)に比べ4.6ポイント低下しているが、それでも流入人口の多さを考えればまだ健闘しているといえよう。
市民アンケートでは加入している71.3%、加入してない14.7%、わからない13.3%。(令和6年度市政アンケート調査 「地域の活動やまちづくり」について) なので、概ね妥当な数字だろう。
ちなみに北九州市では、自治会加入率が1992年度には 96.7%だったのに対し、2023年度には60.0%となり、30 年間で約 35%低下している。(「北九州市地域コミュニティビジョン」令和8年)
高島市政が「手をこまねいていた」とは言わないが、抜本的な大きなテコ入れをできていない状況でも、子ども会や老人クラブに比べれば「自治会・町内会」は何とか持ちこたえてきた。
だが担い手の中心だった団塊世代の引退・フェードアウトが進行しているなか、次世代へつなぐにはどうすれば良いのか?次回は「次の市長への提言」としてまとめたい。
「急ぐので 見ずに素通り 回覧板」
(つづく)
【坂本晴一郎】









