政治経済学者 植草一秀
高市首相の下で日本は完全にポンコツ国家に落ちぶれた。高市首相は10月2日にオンラインで開催されたG7首脳会議を欠席した。どうしても外せない先約があったわけではない。
G7首脳会議が開催されたのは10月2日午後9時半。高市首相はこの会合の開始時刻の前に会食に参加していた。高市首相は首相公邸で自民党の麻生太郎副総裁や鈴木俊一幹事長らと会食をした。会食ではアルコールが提供され、高市首相も飲酒していたとの出席者の証言が報道されている。
首相公邸での会食は午後6時半から午後8時前頃まで。8時には会食参加者が公邸を退出している。公表されている首相の日程に会食後の公務は記載されていない。会食終了後も高市首相は公邸にとどまったと見られている。G7首脳会議は午後9時半から10時頃まで開催された。高市首相の会議出席は十分に可能であったと考えられる。
国会でこのことを追及された高市首相は「会合にはかなり大きなディスプレーを使う」と述べた。準備には業者への委託が必要であり、会議開催時刻が開催直前に確定したため準備が間に合わなかったと述べた。
高市首相は本年8月にXでの投稿に「リモート会議を行える会議室や通信環境も整備されている」と首相公邸の設備をアピールしていた。しかし、そのような設備がありながら、高市首相はG7首脳会議を欠席した。この失態を取り繕うように木原稔官房長官は、「実際に利用するには政府職員やサービス業者が機材設置や回線接続を行う必要があり、それが整わなかった」と釈明した。
戦争が勃発した、あるいは、核兵器が使用されたなどの緊急事態が発生し、G7首脳が急遽オンラインで会談することになった場合、日本だけは会議に参加できないということになる。オンラインでの通信を行うのに、いちいち業者に外注して業者が来訪して準備をしないと通信できないなら、首相公邸は緊急対応でのオンライン通信ができないということ。まさにポンコツ公邸。諸外国から「日本はポンコツ」と烙印を押される。高市首相の「ポンコツ宣言」にほかならない。
消費税の税率を変更することについて、高市首相はスーパーマーケットのレジを改修するのに1年の時間がかかると発言してきた。高市首相は何時代に生きているのか。世界がAIで進化を遂げているときに石器時代の対応しかできないとは、あまりにもポンコツだ。
税制について言えば、政府が強調してきた税制の基本原則は「簡素、公平、中立」である。高市内閣が提示する消費税減税と付随する政策案は真逆。まず、複数税率が「簡素」に反する。もともと日本には複雑怪奇な「物品税」が存在した。品目ごとに税率が異なる。消費税導入の際に複雑怪奇な物品税を廃止して税制を「簡素」にすると強調してきた。複数税率は「簡素」を「複雑」に戻すもの。飲食料品の税率を1%にするというが、1%になるものと8%に据え置かれるものの線引きで大紛糾している。
税制が経済活動に与える影響に歪みが生じないようにする。これが「中立」の原則。外食が8%で内食と中食が1%となれば、外食が縮小して内食と中食が拡大する。「中立」を歪めることも明白だ。ポンコツ総理の下で日本のポンコツ化が加速している。
飲食料品の消費税率を2年だけ1%にして、1%分の消費税に該当する部分を所得の少ない人に限って現金給付する。また、農林水産事業者の一部に現金給付的な措置を講じる。しかし、誰が現金給付を受けられて誰が受けられないのかも分からない。「カオス」である。
「ポンコツ」と「カオス」を足し合わせると何ができるのか。答えは「カタストロフィ=破局」である。高市首相はG7首脳会議の開始時刻が確定したのが会議直前だったと弁解しているが、マクロン大統領からG7オンライン会議開催の通知が日本政府に届いた日時が問題になる。これが会議開始の1時間前だったら弁解にも一定の理解は可能。しかし、それでも「核戦争勃発」などと言う「緊急事態」発生にも国家は対応する必要がある。そのような場合にオンラインで会議を開催することになれば、最低でも「5分程度の時間」で対応できるようでなければ「危機対応」ができていると言えない。
高市首相は「スマホを枕元に最大音量で置いている」ことが「危機対応」だと国会で述べたが、やはり頭のなかが石器時代だ。緊急事態が発生したときに諸外国首脳を瞬時に連絡を取ることのできる体制を整えていることが「危機対応」。十分な時間の猶予を与えられてG7首脳会議開催が通告されて、飲酒を含む会食に出てG7首脳会議を欠席することが許されるのか。職務放棄と言うほかない。業者に発注して業者が来訪し、準備を整えなければオンラインでの通信もできないと言い張るなら内閣総辞職して時代に対応できる新しい内閣に道を譲るべきだ。
技術的な能力を欠落した者に国政を委ねることはできない。また、技術的にオンライン会議に出席可能であったのに、飲食をして会議を欠席したのなら職務怠慢。これも罷免の事由に該当する。
リアルなG7会合でも高市首相は奇怪な行動を繰り返してきた。誰とも会話をしていないのに顔と手ぶりで会話をしているパントマイムを演じる。G7首脳が個別に熱心な会話をしているときに高市首相だけが誰も着席していない椅子に座ってため息をついている。
日本はいま、外交的危機に直面している。日中関係は国交正常化以降で最悪の状況に陥っている。ウクライナに対して武器を供与してロシアが日本政府に対して最後通牒を申し入れてきている。ウクライナ戦争の最大の戦犯はウクライナであってロシアではない。米国に隷従するだけでウクライナ戦乱の正確な分析と判断もできない。ウクライナに対する武器供与はロシアに対する宣戦布告と受け止められてもおかしくはない事象。日ロ関係も最悪の状況に転落している。このなかで、米国は米中ロ首脳会談を期待するとの言動を示す。
生じている現象は「日本の孤立」。ポンコツ国家の日本が孤立を深めるとき、被害を蒙るのは日本国民である。日本国民はポンコツな総理を退場させて新しい日本政府を樹立するべきである。技術の進歩に対して日本もキャッチアップしなければならない。消費税の税率変更に瞬時に対応し得る技術力を保持しなければならない。
税制においては「簡素、公平、中立」の租税原則を改めて確認する必要がある。実行するべき施策は消費税率をまずは5%に引き下げて税率を一本化すること。簡素で中立な消費税制を確立するべきだ。国税収入の激増は正当な減税財源である。「減税財源がない」というのは財務省が流布する「虚偽情報」でしかない。
<プロフィール>
植草一秀(うえくさ・かずひで)
1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ(株)代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。経済金融情勢分析情報誌刊行の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」で多数の読者を獲得している。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門第1位。2002年度第23回石橋湛山賞(『現代日本経済政策論』岩波書店)受賞。著書多数。
HP:https://uekusa-tri.co.jp
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