初志を支えるのはビルに対する不動の愛
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(株)ビルマネージメント 代表取締役社長 吉田 晃
正しいビル管理の在り方を起業で提言
「ビルマネジメント」という業種は今でこそ周知されているが、吉田晃社長がビルマネージメントを有限会社として設立した2001年当時は、まだビル保守・保全業界でも耳慣れぬ言葉だった。その言葉を屋号にした同社は、ビルマネジメントという業種の生みの親でありパイオニアであると言える。
設立の動機にも、業界を刷新するような熱い思いがあった。当時のビルは『投資目的の不動産』という見方をされており、利益の追求が優先され管理は後回しにされがちだった。コスト重視、売買優先の考え方は、ビルの存在価値を人が利用する場所というより、財産としてみる傾向を強めた。「利用する人たち」のことを置き去りにすれば、細部に目が行き届かない管理になってしまう。結果、ビルの劣化を早め、資産価値を下げることになることが、吉田社長の目に余った。
清掃の仕方ひとつとってもそうだ。コスト削減を優先し、床材へのワックスがけの工程を疎かにすれば、いずれ床材は薄汚れ、劣化につながり資産価値が下がる。美観の問題だけではない。昔、火災を起こした某デパートが非常ベルの電源を消していたために多くの被害を出し、オーナーとビル管理者が実刑判決を受けた例もあった。杜撰な管理は人災という過失をも引き起こす。「似たような管理をしているビルは他にもたくさんありました」と吉田社長は振り返る。違法に管理されていないビルが当たり前のように建っていた時代に疑問を感じ、正しいビル管理の在り方を世間に知らしめるために、吉田社長は総合ビルマネジメント会社を設立した。バブル崩壊後の大不況のなか、捨て身の覚悟で起業した吉田社長に、無謀だと言う者もあったが、志を理解してくれた人たちや協力的な不動産会社などに支えられ、事業は軌道に乗った。今は、プロパティマネージメント、ビルマネージメント、マンション管理、ビルクリーニング、ホテルメンテナンスの5事業のなかで、ビルに関わるすべての人の動線を大切にしたビル管理を提案している。
強く賢いものこそが波乱の時代を乗り越える
もともとは、設計とは縁遠い文系畑出身の営業マン。図面の読み方もわからなかったが、意味不明の記号が意味あるビル用語の略称であることなどが読めてきた。ついには、設計士たちのミスを指摘できるまでに目が肥えた。ライバル業者に差をつけるため、ビル管理に関するありとあらゆる資格も取るうちに、「建設前から相談をしてもらえれば、不具合が生じるビルはつくらせない」と自信を持って言えるまでになった。その自信は「小さなところにも目を向け、オーナー、入居者、ビルを訪問する人々、すべてにとって良いビルディングとなるように管理するのが、ビルマネジメントのプロたる者の仕事」という、誇りと思いやりに満ちた視点で支えられている。
なぜ、そのような視点を保ち続けることができるのか。その問いに吉田社長は「建物を愛しているからですよ」と即答する。人が所有しているビルに、自分の持ち物以上の愛着を感じるのだそうだ。さらに「どんな商売にも言えることだけど、お客さまのことが好きで、商品のことが好きなら、必ずうまく行きます」とも言う。誠実と正義を支えに起業した。思い切った冒険の結果、順調に会社を成長させきた。時代の変化に振り回されない強い意志による言葉だけに、含蓄がある。
社員には、ビルを愛する自分の思いを繰り返し伝えている。自分の気持ちに近い状態で会社が続くことが願いだ。吉田社長は言う。「強いもの、賢いもの、変化に耐えられるものだけが生き延びる」―その言葉は、変動が激しい現代社会において、殊に貴重なものとして胸に響く。
※記事内容は2015年8月31日時点のもの
<COMPANY INFORMATION>
(株)ビルマネージメント
代 表:吉田 晃
所在地:福岡市博多区博多駅南3-23-17-3F
設 立:2001年1月
資本金:2,000万円
TEL:092-477-5111
URL:http://www.buil-manage.com/<プロフィール>
吉田 晃(よしだ あきら)
1952年1月21日生まれ。福岡市出身。立命館大学卒。ビルマネジメント業界のパイオニアとして、ビル管理に高い理想と誇りを持つ。趣味は欧州車を運転すること。ときにはラリー競技も楽しむ。関連キーワード
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