十八銀とふくおかFGの経営統合の衝撃(後)
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これから九州地銀の貸出金および収益を検証して行くことにしたい。
<表から見えるもの>
福岡県の人口比率39.1%に対して、福岡県に本店がある地銀の貸出金シェアは50.7%となっている。九州では福岡県以外の6県すべてで、人口比率より貸出金がマイナスとなっており、九州全体の貸出金32兆6,000億円の約44%にあたる14兆4,700億円を福岡市に本店がある福岡銀行、西日本シティ銀行の2行が融資しているのだ。
特にギャップが大きいのは鹿児島県の▲2.4ポイント。次に大きいのが大分県の▲2.2ポイントと続く。鹿児島銀行が肥後銀行との経営統合の道を選択した理由も、この辺にありそうだ。大分銀行についても去就が注目されることになりそうだ。
当期純利益についても福岡県に本店がある銀行が50%を超えており、圧倒的な強さを見せている。このなかで、佐賀県の銀行の収益環境が最も厳しく、収益シェアは2.6%。次いで大分県の銀行で6.8%と低い数字となっている。<九州地銀の経営統合を占う>
金融関係者の間では、十八銀行、佐賀銀行、筑邦銀行の3行は電算システムの共同化などで親しい関係にあり、3行がそろって、九州FGとの提携を模索するとの見方が有力だった。
ある金融関係者は、「九州FGのトップは、自分たちの経営統合に忙殺され、他行との提携に手が回らなかったのではないか。その間隙をぬって、ふくおかFGが十八銀行に好条件を提示し、傘下に収めたのでは」と話す。置き去りにされた佐賀銀行と筑邦銀行は、今後どのような道を選択するのだろうか。ふくおかFGが次に経営統合を狙うのは、大分銀行だろうと見られている。今回の十八銀行と親和銀行との経営統合は、店舗統合にともなう経費が膨らむが、将来を見据えた場合、長崎県での絶対的地位が確保されることになり、そのメリットは大きなものがあるとの算段だ。
九州FGは今のままでは、規模の利益は限定的だ。合併にともなう負ののれん発生益885億円などの計上により、16年3月期の当期純利益は1,080億円を見込んでいるが、あくまでも一過性の収益である。今後、ふくおかFGや西日本シティ銀行グループと競合していくには、宮崎銀行・佐賀銀行・筑邦銀行との経営統合を急ぐことになりそうだ。
ふくおかFGに大差をつけられた西日本シティ銀行は、今年10月にFGへ移行する予定にしている。大方の予想では、親密銀行の豊和銀行や、佐賀共栄銀行・南日本銀行・宮崎太陽銀行などの旧相互銀行系との経営統合を急ぐのではないかと見られている。十八銀行とふくおかFGの経営統合は、九州地銀だけではなく、全国の地方銀行の再編の行方に大きな一石を投じたと言えよう。
(了)
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