福岡からパラリンピック選手を!マラソンを通して感動を分ち合いたい
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視覚障害者マラソンランナー
大濠公園ブラインドランナーズクラブ(OBRC)所属 道下 美里マラソンとの出会い
小学校4年生のとき、膠様滴状角膜ジストロフィーという病気を発症しました。目の表面にアミロイドというたんぱく質が溜まり、失明に至る病気です。中学生になって角膜移植手術を受けましたが、うまくいかず右目を失明しました。短大卒業後、地元山口で働きながら調理師の免許を取得、これからというときに、左目も発症してしまいました。
その後、母の勧めもあり盲学校に通うことになりました。目が不自由になると運動量が減ってしまいます。ダイエット目的で走ることにしましたが、大会に出るようになり、県大会や全国大会で優勝。ジャパンパラリンピックでは、800mと1,500mで優勝し、2007年のブラジルIBSA(国際視覚障害者スポーツ連盟)世界選手権の切符を手にしました。結果は、1,500mで5位入賞でした。その後、中距離走のタイムが伸びず行き詰まっていた頃、フルマラソン出場の機会を得ました。08年の「第1回下関海響マラソン」です。もともと私の走り方は長距離向きだという仲間の助言もあり、そこからマラソンの魅力に取りつかれました。
福岡を拠点として
10年に結婚し、主人の地元・福岡にやってきました。福岡に来て最初に嬉しかったことは、街中で学生が自然体で声をかけてくれることです。学校の授業や地域での人権教育が行き届いていて、直接、障害がある方に接する機会も多いのでしょう。また、視覚に障害があると情報障害に陥りやすいのですが、支援活動も活発なのですごく助かっています。
こちらでもマラソンを走りたくて、OBRCを紹介していただきました。目が不自由だと、1人では走れません。伴走者が必要なのです。OBRCの方を中心に「チーム道下」を結成していただき、週に6日、メンバーと一緒に大濠公園や春日公園で練習をしています。なかでも大濠公園はとても走りやすく、市民に愛されている公園だと思います。裸足ランの人がいるぐらい、綺麗で安全なのです。柔らかいゴムチップ舗装の内周がランナーコース、外周が自転車コースと分かれています。よく利用する方たちにはルールが行きわたっているので、目が不自由でも安心して走れます。ただし、最近とても困るのは、海外からの観光客です。日本語がわからないので、危ないと言っても通じない。観光客に向けて大濠公園のルールを知らせてもらえたら、さらに安心で安全な使いやすい公園になるかもしれません。
パラリンピックを目指して
視覚障害者の女子マラソンは、現在、パラリンピックの正式種目ではありません。新規実施候補に挙がっていて、もうすぐ結果がわかります。パラリンピックに出たいという夢をずっと抱いて頑張ってきたので、本当に正式に決まってほしい。
15年4月26日に行われたロンドンマラソンでは、3位に入賞しました。これは国際パラリンピック委員会(IPC)世界選手権を兼ねる大きな大会で、日本代表の推薦順位1位内定というお話をいただきました。来年のリオデジャネイロ・パラリンピックに向けての大きな一歩です。パラリンピックに行けることを信じて、さらなる記録更新を目指し頑張ります。(談)
※記事内容は2015年8月31日時点のもの
<大会記録>
2013年 1月 大阪国際女子マラソン 3時間9分55秒
12月 防府読売マラソン 3時間6分32秒
2014年 4月 ロンドンマラソン 3時間9分40秒
12月 防府読売マラソン 2時間59分21秒
2015年 4月 ロンドンマラソン 3時間3分26秒<プロフィール>
道下 美里(みちした みさと)
1977年山口県下関市生まれ。膠様滴状角膜ジストロフィーにより右目を失明。左目の視力は0.01以下。現在、福岡県太宰府市在住。OBRC所属。13年より、日本盲人マラソン協会の強化指定選手に選ばれる。13年、14年、IPC世界ランキング1位。関連キーワード
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