『働く』から『傍樂(はたらく)』へ、企業にとっての縁結び役を果たす
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川邊事務所 会長 川邊 康晴
貢献意識からの行動
1958年、九州大学を卒業した川邊康晴氏は、(株)西日本銀行に入行。その当時は戦後復興を目標に、どこも活力に溢れていた。誰もが商売を起こすために金融を必要とし、また、物品はどこも不足していたので、物をつくり、売りに出せば必ず売れるといった状況だった。しかし、国内の経済力が高まるにつれ、銀行の提供する金融サービスはありがたみが薄れていった。「当時は金利も一律でしたので、お客も『昔からの付き合い』で銀行を利用していました。別の銀行に振り向いてもらうには、今のままでは駄目だと思った」。
そこで銀行は金の融通だけでなく、情報の融通、知恵の融通、人脈の融通といった、経営に役立つサービスの提供を提案。しかし、「どこそこに今度何々が建ちますよ」などと言っても、「へえ。そうですか」程度で済まされる『話のネタ』にしかならず、まともに相手などしてもらえなかった。今でこそ情報は商品価値を持つが、当時ではとても対価を得られるようなものではなかったのだ。
それでも銀行は専門部署をつくり、動員して事に当たった。目先の利ではなく、未来の展望に目を向けたこの取り組みは、九州における「コミュニケーションバンク(情報銀行)」の誕生を後押しした。「ただ金を融通するのではなく、お客の役に立つものを何でも融通できる銀行を目指しました」と、川邊氏は語る。縁を育む良き仲人として
銀行がその役割を大きく広げるなか、川邊氏はその後、定年を迎え退任。しかしさまざまな経験や培った人脈、それらを地元福岡に、もっと言えば九州全体に還元できないかと、67歳で『川邊事務所』を起ち上げ、同事務所会長となる。現在、川邊会長は、企業間の業務提携を円滑に進めるための手助けを行っている。「うちだけ儲ければ良いというような心根ではいけません。双方共に良い結果を生み出せるような、そんなマッチングの提案をさせてもらっています。そうして結果が出て、初めて役立てたと言えます」。
川邊事務所には、県内・外からたくさんの相談者が訪れる。多くの経営者が川邊会長を頼りにするのは、やはり川邊会長が短期的な関係補完を意味する『コラボレーション』ではなく、長期的な関係構築を意味する『アライアンス』を掲げ、「三方一両得(自社、提携会社、そしてお客さま三方が得する)」の実現を常に意識し動いているからだ。
常に役立つということを最善として動き続ける川邊会長。数多くの企業の相談役を引き受けるなかで、「次世代にもこの事業、想いの継承を」と考え、(株)Kアライアンス・ジャパン(Kは川邊の『K』でもあり、九州の『K』でもある)を立ち上げたという経緯も、川邊会長の『誰かの役に立ちたい』という意思が強く感じられる話だ。最後に川邊会長は、故郷・福岡が発展していくための金言をくれた。「福岡には、物的インフラ(工場、オフィスビル等)だけでなく、ベンチャー発掘、既存企業の活性化に重要な他の企業、人との『つながり』を育むシステムが必要です。経験、知恵、そして人脈。そういったつながりを生めるものを多く持つ人物が、地場同士、または福岡進出を考えている他県、あるいは外国企業との橋渡し役として活躍できる場をつくる。その場も、官民で別々に設けるのではなく、一所に集約する。そんな『ビジネスインフラ』とでも言うべきものが必要です。そうして『ビジネスやるなら福岡!』と言ってもらえるような場所にしていくのです」。
ただ『働く』のではなく、川邊氏の好きな江戸時代の言葉『傍樂(はたらく)〈傍の誰かを楽しませる〉』を念頭に行動できれば、福岡は『起業の場』として輝けるのだ。※記事内容は2015年8月31日時点のもの
<INFORMATION>
川邊事務所
代 表:川邊 康晴
所在地:福岡市中央区大名2-4-19
福岡赤坂ビル5F
TEL:092-732-0230
FAX:092-732-0231
URL:http://www.alliance-power.jp/<プロフィール>
川邊 康晴(かわべ やすはる)
1935年8月、福岡博多に生まれる。58年3月に九州大学法学部法学科を卒業後、同年4月に(株)西日本銀行入行。銀行で培った経験を「人の役に立てたい」という思いから、2002年10月に川邊事務所開設、現在に至る。関連キーワード
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