2024年11月26日( 火 )

1日で約1.9億円!西南学院の豪華すぎる100周年記念行事(7)

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ステークホルダー置き去りで予算決定?

fukuoka 数千名の同窓生が参加し、今年(2016年)5月14日(土)に盛大に開催される学校法人 西南学院の創立100周年の記念行事(以下、『記念行事』)。NetIBでは、その予算約1.9億円という金額に同学院関係者から疑問の声があがっていると伝えてきたが、その疑念の発端が、予算については、『記念行事』の内容を審議する「西南学院・同窓会連合会協議会実行委員会」(以下、実行委員会)と「西南学院・同窓会連合会協議会」(以下、協議会)を通していないプロセスにあることを突き止めた。

 今回の『記念行事』に企画段階から携わっていた実行委員会の下に設置された準備部会の委員の1人は、「同窓生がボランティアで運営に携わり、人件費をおさえるなどの努力をしたうえで予算を抑えている」と強調し、本連載に対して抗議を行った。しかし、実行委員会および協議会では1.9億円の予算がまったく審議されず、学院の常任理事会で承認された後の事後報告であった件については知らぬ存ぜぬを繰り返す。

 しかし、その準備部会は、今年2月26日に行われた第9回の会合で、『記念行事』の予算について審議。その記録には、以下のような発言が含まれていた。

 「事前に概算経費を一部の常任理事に説明した感触としては、3千万程度、経費を削減しなければ承認を得られないのではないかと思う。しかしながら、常任理事会では、別紙資料を提示し、承認をいただけるように努めていきたいと思う」

 重要なのは、『記念行事』の予算約1.9億円を、学校法人西南学院が支出するということである。2014年度の決算では、同学院の補助金収入は13億2,743万円(国庫補助金収入5億4,582万円、地方公共団体補助金収入7億8,161万円)。補助金の原資は言うまでもなく国民の血税。約63億円の現預金がある同学院ではそれなりに薄まってしまうかもしれないが、学校法人の資産には血税が流れ込んでいることは紛れもない事実。発言者が誰であったかはさておき、準備部会のなかでの「経費削減が必要」との声があがっていたことは特筆すべきことだろう。

 一方、削減が必要ではないかとの意見に対し、以下のような発言があった。
 「全ての項目について金額の精査はしていかなければいけないと思うが、常識外の金額を提示しているわけではない。広告代理店に業務委託した場合は、少なくとも2億円~3億円程度の金額になる。それと比較すると、記載の概算経費は決して高い金額ではない」

 「概算経費を削減したうえで承認されても、対応できないものは対応できない。対応できたとしてもアトラクションを全てなくす等の対応が必要になると思う」

 記録からは、それぞれの具体的根拠は読み取れず、記念祝賀会の目玉であるアトラクションを「全てなくす」とは少々乱暴な印象を受ける。この会合の2日後(2月28日)に、『記念行事』の予算は、同学院の常任理事会で承認された。高い安いも問題だが、正当な予算であるならば、なぜ、準備部会、実行委員会、協議会でそれぞれ審議するというプロセスを守らなかったのか。

 『記念行事』と並行して行われる創立100周年記念募金事業の趣意書には、ステークホルダー(同窓生、保護者、地域、その他学院にかかわるすべての関係者)とのネットワーク強化がうたわれている。だが、『記念行事』には募金ではなく、補助金や授業料も含まれた学校法人の金が使われるのである。その金が「私」のものではなく、「公」のものであるという認識に立てば、責任をもって慎重な審議を行わざるを得ないはずなのだが――。

【山下 康太】

 
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