2024年11月26日( 火 )

えにしの会、日本ライフ協会の譲渡辞退の背景

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sora 高齢者からの預貯金を流用し、2月12日に大阪地裁に民事再生法の適用を申請した公益財団法人日本ライフ協会(本部:東京都港区、浜田健二代表)が破産に転じた。原因は会員の受入れ先として譲渡契約を交わした高齢者生活支援事業者(一社)えにしの会(本部:福岡市中央区、川鍋土王代表)が3月14日、「資金調達の見通しが立たない」として譲渡を辞退したためだ。

 協会管財人の森恵一弁護士は「譲渡先選定の候補は100社ほど選び通知した。これに応えた事業所数は少なく、時間も限られていた」とコメント。選定時の書類選考に問題はなかったのかという点については、「それはむしろえにしの会に問い合わせて欲しい」と述べた。

 一方、えにしの会代表の川鍋土王氏は契約に至った経緯を、「2月16日に譲渡先選考申請書類を受け取り、18日に提出。20日にプレゼンを行い、22日に内定、26日に契約した」と説明。選考書類の中には、財務諸表や事業計画書もあった。

 川鍋代表は、事業計画を立てるにあたって、個人的な融資先のほか、取引金融機関に相談したうえで作成したとして、「選考書類に基づくプレゼン時点での問題はなかった」と考えている。しかし契約後、実際に金融機関へ融資を申し込んだところ、融資が受けられなかったために、事業計画の実施見込みが立たなくなり、譲渡辞退に至った。

 事業の譲渡側も受け入れ側も、共に「契約を急ぐあまりに生じた事態」という。だが時間がないというのは言い訳にしかならない。また、えにしの会が事業計画の相談をしたという金融機関は、その時点で融資の可否を予測できなかったのか。協会の破産で支援援助が打ち切られるという不安にさらされている会員は約2,600人。金融機関のスピーディな判断があれば、事態は防げたのではないのかという疑問が残る。

 えにしの会代表の川鍋土王氏は「このような事態になって大変責任を感じている。もし今の時点でえにしの会でのサポートを希望される方がいらっしゃったら、協会会員と同じ条件で支援させていただこうと思っている」と、現在、全国を回っているところだ。

【黒岩 理恵子】

 

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