2024年12月23日( 月 )

シリーズ・金融機関淘汰の時代がやって来た(11)~十八銀行専務死去で統合に暗雲さらに濃くなる

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 十八銀行(長崎市)の森甲成・取締役代表執行役専務(59)が28日早朝、長崎市金屋町の自宅マンション敷地内で倒れているのを、通報を受け駆けつけた長崎署員が発見。その場で死亡が確認され、長崎署は投身自殺と見て捜査中とのショッキングなニュースが飛び込んできた。

 NetIB-Newsでは「シリーズ・金融機関淘汰の時代がやって来た(10)」で、『九州地銀行の16年9月期(中間)決算を検証する』を11月17日から8回にわたって連載。
 森専務が亡くなった11月28日、『九州地銀行の16年9月期(中間)決算を検証する(7)』を掲載し、その中に森専務の死去に関係する可能性があるふくおかFGと十八銀行との経営統合を取り上げていた。

 九州の地銀は北九州銀行が設立されたため、現在18行。しかし今年2月26日、ふくおかFGは十八銀行と経営統合に関する基本合意を発表。2018年4月をメドに傘下の親和銀行と合併を予定にしており、再び17行に戻ることになる。
 これからは金融再編が進み、合併により行数は減少していくものと予想されている。 しかし今回のふくおかFGと十八銀行の経営統合は、独自の経営戦略としての道を選んでいるように見えるのだ。独禁法上の問題もあり、関係する公正取引委員会や金融当局が今後どのような対応を見せるかに、金融関係者の注目が集まっている。

 翌日11月29日付の『九州地銀行の16年9月期(中間)決算を検証する(8)』は、下記を掲載して結びとしていた。

ふくおかFGの金融再編構想に暗雲

 ふくおかFGと十八銀行は今年2月26日、来年4月をメドに経営統合する基本契約を締結したと発表するとともに、2018年4月に、十八銀行と傘下の親和銀行が合併すると公表したことが、長崎県の経済界に大きな衝撃を与えることになった。
 両行が合併すると、【別表2】の通り、長崎県には第一地銀1行。第二地銀1行(長崎銀行)。信用金庫1(たちばな信用金庫)となる。預貸金残高には県外分も含まれているが、いずれも90%の大台を超えており、圧倒的なシェアを持つ十八銀行と親和銀行の合併は、地域金融の寡占化が一気に進むことが懸念されるからだ。
 ふくおかFGと十八銀行は今年8月に最終契約を締結し、12月に臨時株主総会を行うとしていたが、独占禁止法に基づく公正取引委員会の二次審査が長引いており、延期が決まった。経営統合が計画通りに進むかどうかは微妙な段階を迎えている。
 地方銀行は人口の高齢化に伴う地域経済の縮小が深刻化し、第二の金融再編の時期を迎えている。九州地銀の再編はふくおかFG・西日本FH・九州FGの3グループを軸に集約されていくもと予想されるが、ふくおかFGと十八銀行の経営統合に暗雲が漂うなか、態度を決めかねている銀行をいかに取り込むか。西日本FHと九州FGにとっては、今まさに、生き残りを賭けた最終 決戦を迎えているといえるのではないだろうか。

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まとめ

 経営統合の責任者であり次期頭取候補でもあった森甲成・取締役代表執行役専務の死去により、ふくおかFGと十八銀行の経営統合は白紙に戻る可能性が高く、九州地銀の金融再編の動きにも暗雲が漂うことになりそうだ。

【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

 
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